2013年7月23日火曜日

'13/06の「担当ファンドマネージャーの見方

大和住銀日本小型株ファンドの月次。6月は6157 日進工具

<特化戦略に支えられた匠の技>
 中堅・ベンチャー企業が内外の大企業に伍して競争するためには、何らかの強みが必要です。特に、量産品の製造業においては、明確な企業戦略のもと大胆な製品の絞り込みを行うことが不可欠と言えます。その好例として、今回は日進工具(6157)を取り上げます。
 同社は高度経済成長時代に東京都品川区の町工場からスタートした企業で、三菱マテリアルや住友電工子会社、さらにスウェーデンや米国の老舗が高シェアを有する切削工具業界では後発の存在です。同社は主として部品切削よりも金型の製造に多く用いられるエンドミルというニッチ分野に特化し、大企業に追随して事業基盤を築きました。
 バブル崩壊以降、同社は絞り込み戦略をより徹底しました。製品面では、エンドミルの中でも直径6ミリ以下の小径品に特化する戦略を打ち出しました。また体制面では、関東圏の生産拠点をすべて閉鎖し、開発と生産を新鋭の仙台工場に集約しました。小径エンドミルの市場は切削工具の中でも数%に過ぎないことから、上記の老舗企業では必ずしも力が入っている分野ではありません。この分野で最大の競合はOSG(6136)ですが、同社もエンドミルよりは世界的に強みを持つねじ切り工具に注力している感があります。そのような競合環境で、日進工具は小径化に関しては誰にも負けないという姿勢を貫いており、直径10ミクロンまでの製品化を実現しました。まだこういった超小径品が売上高に大きく寄与しているわけではありませんが、ブランド力向上には貢献しており、将来的には医療分野などで大きな需要が生まれる可能性に期待がかかります。
 前期は期央の景気鈍化や中国での日本車不買運動といったマイナス要因があったにもかかわらず、通期で増収を維持しました。主力である自動車向け以外で、スマートフォン用の極細コネクターやLEDといった新たな需要が業績を押し上げたと推測されます。日本国内でものづくりを続けていくためにも、より先端分野に特化することは不可欠な戦略と言えるでしょう。

日進工具は、切削工具メーカーですね。ビジネスモデルはBtoBで、工作機械に取り付けられるドリルを製造しています。ドリルは工作機械の中で消耗品の部類に入ります。ある程度使用した後は取り替える必要がありますので製造業としてはストック型ビジネスに近いビジネスになります。工作機械の稼働率が高くなると売り上げが伸びる傾向にあります。

同業他社としては6136 OSG6278 ユニオンツール6156 エーワン精密あたりでしょうか。この分野で最もシェアが高いのはタンガロイという非上場企業です。様々な切削工具を用意しており全体では6割近いシェアを持っていたはずです。この企業、かの有名な投資家、バフェットさんが投資している企業としても有名です。

日進工具は、その中でも電子機器に使われる超小型のドリルを製造しています。仙台に工場があり、震災の時はかなり気にしていましたが、思ってたよりは被害を受けなかったようでその後の売上も堅調に伸ばしています。IR活動に積極的で頻繁に決算動画を流しています。経営者もナカナカ面白い人です。

で。

投資先としてはどうかと言われるとナカナカ難しいですかねえ。配当もそんなに悪くはないんですが、やっぱり日本の製造業を俯瞰した時に環境が恵まれているとはいいがたく。流動性、かなり悪いってのもアレですよね。

や、嫌いじゃないんですよええ。

2013年7月10日水曜日

'13/05の「担当ファンドマネージャーの見方

大和住銀日本小型株ファンドの月次。5月は3376 オンリー

<紳士服量販店各社の再活性化>
 2012年9月の当コメント「150坪の王者たちの再生」でも取り上げましたが、近年の小売業界における隠れた投資テーマの一つは、大規模小売店舗法廃止以前に基盤を築き、その後停滞局面を迎えた企業の再活性化だと考えています。中でも、上位各社がそれぞれ自社の強みを見つけ、着実に業績改善を果たした業界として紳士服量販店に注目しています。
 同業界で王道を歩んだのは青山商事(8219)です。最大手のスケールメリットを生かし価格・品質のバランスで他社に差をつけつつ、店舗のスクラップアンドビルドや婦人用スーツの取り込みでも先行し、業界の王者となりました。
 第2位のAOKIホールディングス(8214)は本業で同社に食い下がる一方、多角化展開にも活路を見出しました。結婚式場のアニヴェルセル、カラオケルームのコート・ダジュール、複合カフェの快活CLUBはいずれも各業界の有力チェーンに育っています。また、本業周辺ではカジュアルも取り込んだショッピングセンター向け業態のORIHICA(オリヒカ)も好調です。
 コナカ(7494)、はるやま商事(7416)の2社はかなり厳しい状況に追い込まれていましたが、近年はやはり新業態によって盛り返してきました。コナカはスタイリッシュな都心業態であるスーツセレクトのブランド確立に成功し、全国展開を開始しています。はるやまも大きなサイズに特化したフォーエルと若者向け・都市型のパーフェクトスーツに活路を見出しています。また、コナカが買収したフィットハウスは、他に類を見ない革製品の大型郊外店という業態を確立しており注目されます。
 そして、当ファンドの投資対象であるオンリー(3376)は若者向け・都市型業態の元祖として、スーパースーツストア業態の強化を続けてきました。円安という逆風に対しても、従来より高価格帯の商品を増やすことで対応し、きちんと売上を伸ばしています。好況ムードの恩恵を受けているのは事実ですが、小売業者が自らの魅力を確立できれば需要喚起の余地は十分にあるという好例ではないでしょうか。

前からこのファンドがオンリーを持っていたことは知ってました =)


決算後、株価の反応が悪くなったものの月次を見る限り、紳士服の需要は悪くないんじゃないと思ってます。

青山は、成長意欲にやや欠ける状況っぽく、今期もさほど出店をする予定はないようです。AOKIは、今期も出店を強めで既存店の月次も100%をキープしていて状況は悪くナサゲ。成長面ならイチオシですかね。コナカの低PERはデリバティブ要因なので5割増しあたりが妥当っぽい。はるやま商事は低PBR推しになりましょうか。オンリーについては未だによく分かりません><

今の所、AOKIの1Qで前回の上値を抜けるかあたりがポイントと考えています。どこががずば抜けた決算を出せば紳士服銘柄全体のPERを押し上げることを期待していたりします =)

後は、下位を取り込むようなM&Aが出てくると、面白状態になりそうな予感はするんですが、どうなることやら。

2013年7月2日火曜日

3179シュッピンの株主総会に参加してきたお

当方の手違いにより同タイトルのページを削除してしまいサルベージしました。内容は前回と同じです。申し訳ない。

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シュッピンの株主総会会場
今更ですが13.06.25にあった3179シュッピンの株主総会についてメモを残してみるテスト。

場所は新宿の「新宿ファーストウエスト」というビルで、大体50人くらいの収容が可能な会場でした。当日は大体30人くらい。関係者と思われる人達が数名、個人投資家らしき老夫婦が2、3組、後はビジネスマン的な人たち。

フーテンらしき人物は私くらい =)。でもボッチ感はありませんでしたよ。シャンシャン総会の後は会社説明会で大体1時間30分程度。オミヤはどら焼きでした。美味しかったです。

ざっくり纏めると以下の通り。


  • カメラの中古・新品の売買で売上の約7割程度
    カメラのレンズは他のパソコンビジネスと異なっていて、特に交換レンズは中古の値段が落ちにくい傾向にあります。云わば骨董品のような扱いなんですね。また他の市場と異なり、一眼レフは国内メーカー(ニコン、キヤノン、ソニー等)が圧倒的なシェアを持っていて海外からの流通と隔離された状況なんだそうです。なので、海外からの輸入品の影響も受けにくい状況とのこと。
  • ネットとリアル店舗とのミックス
    1業種1店舗とし、カメラ売買では店舗を増やすのではなくネットを通じた買取・販売を行うとのこと(ただし増床はしたいんだとか)。現状ではネットとリアル店舗の売上は1:1。ネット売上を伸ばしている状況。
  • 1業種1店舗
    カメラの他に、時計・文房具・自転車を取り扱っています。ただしカメラよりは状況が宜しくないらしく、海外でのオークション価格に連動する状況になっているようです。価格決定権が弱いんですね。
    ちなみに今後、業種を増やしていくのか聞いたんですが、直近ではこれ以上増やさないニュアンスでした。増やしたいのは山々なんですが、ビジネス立ち上げ時にはある程度の在庫を持たざるを得なく利益が出にくくなってしまう都合上、現状では利益優先を考えているので余程素敵なビジネスでなければ手は出さない、とのこと。まあVCの人が経営陣にいるのだから、彼らのイグジットも考慮しているのだと思います。
  • ネット売買に特化
    リアル店舗からネットに販売網が変わりつつある状況(ショールーム化)。ネットでフツーに売買する時代がもうすぐそこまで来ている。ここで高いシェアを確保できたのならリピーターを中心に大きなビジネスになる可能性が高い。中古買取は、店員さんのプレッシャーが無いのでネット向きなのでは。サービスとして定額買取というのを用意しており、最低限の買取価格を示すことで安心感を与えている。
  • 地震対策について
    最大のリスク。東日本大震災の時は幸いにも被害はなかったが、これ以上の地震となると未知数。顧客からの預かり品等もあるので万全の注意は行っている。店舗での地震対策は震災前から行っていた。
    どうも今いる場所が高層ビルの上の方らしく、かなりの揺れがあったそうで、もっと揺れない免振対応したビルに引っ越したいんだとか。
  • 楽天への出店とかコスト高にならない?
    今の所、楽天から店舗を閉鎖する予定は無い。勿論、利益面では自社サイトの方がいいのだが、楽天の集客力は凄まじく、楽天と同じコストで集客するよりは今のままの方がトータルで利益が出るとの見込み。
    楽天ポイントとか欲しい人は多いんだとか =)
  • 利益率、低くね?
    業態によって異なる。主力の中古カメラの場合、回転率が低く、粗利が約30%程度に抑えているので今の水準は妥当であるとの認識。粗利30%は低いとは思ったんですが、どうも社長の考えでは「それ以上取ったらボッタクリ」という認識らしい。パイを広げていく状況なので、まずは良質な在庫を確保するのが先決との判断なのでしょう。ある程度の在庫が揃ってくると、やはりリピーターも増えてくるという雪だるまが考えられるわけで。成長期故に利益率上昇はもう少し先になりそうですな。現段階では売上を注視した方がヨサゲかも。
    でもなあ。粗利30%は在庫リスクを考えるとやっぱり低いと思うわ。古着とかは多分粗利50%は必要だろうし、高い回転率故に利益は高いが廃棄ロスもある程度見ておかないといけない。一長一短だわな。
  • 海外展開について
    特に予定は無い。国内需要は十分強い。海外旅行客向けには販売網を持ちたい(多分リアル店舗の話かな)。
  • 中古と新品の関係
    何故か中古を扱うと新品が入りにくくなるんだとか =)。リピーター客を掴むには新品売買も必要との認識。現在ようやくライカや国内メーカーの新品を取り扱えるようになった。新品:中古売上比率は1:1になるよう今後も調整していきたい。

まああれです。

VCの人たちも長期戦を考えているからこそ今回、取締役を送り込んでいるんでしょうからここ数年の成長に注目でしょう。利益を毀損する程の博打は打ってこないんじゃないんでしょうか。

4月、5月の月次は相当良かったとの認識。この状況が続くと上方修正もあるかもしれませんな。取り敢えずここは月次に注目していればいいんじゃないでしょうか =)。

中期経営計画の説明とオミヤ