2016年3月2日水曜日

今日の雑談 (3/1)

10年国債の新発債でもマイナス金利って話


10年国債は、長期国債の中では人気が強く、発行枚数も多いので長期債券の利回りを計るのに使われることが多いのです。今回は既存の国債ではなく新発債でもマイナス金利ってことでニュースになってるんだが、マイナス金利を説明するのに便利なので取り上げてみる。

1日金融機関を対象に新たに発行される満期までの期間が10年の国債の入札が行われました。今回の国債は、額面は100円で表面利率は前回の年0.3%から年0.1%に下がりました。つまり、年間10銭の利息がつき満期までの10年間保有すると101円が支払われます。
-- 10年国債の入札 初のマイナス利回り NHKニュース

今回は、年0.1%の利金が付いた国債を100円で売りだすことになりました。利回り0.1%なら以下の流れになります。

  1. 10年後、100円を返してくれる権利の国債を100円で買う
  2. この権利を持っておくことで毎年10銭ずつ利金が貰える
  3. 10年後、100円を返してもらう(償還)

債券の面白いところは、この権利を10年間持ち続ける必要はなく、途中で他の人に売却してもいい、というルールがあります。償還の期間が長くなる程、この権利の価値は低くなります。将来、どうなるか分かったものじゃないですからね。

今回、マイナス金利になったのは以下のとおり。

入札の結果、平均の落札価格は101円25銭で、平均の利回りはマイナス0.024%となり、10年ものでは史上初めて利回りがマイナスとなりました。
-- 10年国債の入札 初のマイナス利回り NHKニュース

10年後、100円を返してくれる権利を101.25円で取引されたということです。10年間、貰える利金は1円(=0.1円*10年)なので10年間持ち続けてもトータルで101円にしかなりません。この時点では明らかに損な取引なのは分かっていただけるでしょうか。

これから貰える利金以上に高い価格で債券が取引されることをマイナス利回りと言います。多分、近日中にオーバーパーの説明をすることになりそうな予感がするので予め資料を用意してみた =)。

これは日銀が今後も国債の大量買い入れを続けるため、金融機関が日銀に売却する際には利ざやが見込めることなどが背景にあります。
-- 10年国債の入札 初のマイナス利回り NHKニュース

これは穿った見方でしょう。バカな日銀がもっと高い値段で買い取ってくれるんで買い占めちゃうんだぜ!って言ってるんですが、流石にいつまでも買い続けてくれるわけではないのでこれは楽観しすぎです。

国債の買い取り先の銀行は、国債以外で安全な運用先が浮かばないので、仕方なく多少の損を覚悟して国債を購入しているんだと思われます。日銀に預けすぎると損失が出てしまいますからね。溢れたおカネの行き先が決まらない内は国債しか運用できないのです、彼らは。

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今のところ、このマイナス金利で得しているのは、国債を安く発行できる政府しかいないんですけど、どうもこのところ、愚鈍に見えて仕方がない。

ホント、大丈夫でしょうか。

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