3963 シンクロ・フード
3474 G-FACTORY
<飲食店跡の居抜き活用>
飲食店は流行や人的要因に左右されやすく、出退店の多い業界です。出店時には多額の内装投資が必要ですが、賃借物件の場合は賃貸契約が退去時の原状復帰を原則としているため、退店時にはさらに解体費用も前店舗の負担となり ます。そして、新たな店舗はふたたび内装投資を行わなければなりません。このムダを省くには、前店舗の設備を可能なかぎり活用する居抜き出店が有効です。2016年9月には、この居抜き出店をシステム化した企業が相次いで上場しました。
1社目は、飲食店向け総合情報サイト「飲食店.COM」を運営するシンクロ・フード(3963)です。同社は大手外資系コンサ ルティング会社出身の経営陣が2003年に創業した企業で、一般の物件情報に始まり、内装業者、求人、食材など飲食店経営に必要な情報を次々と充実させてきました。現在最も売上構成比が大きいのは求人広告ですが、2007年に開始した 居抜き物件の紹介も事業の柱に育っています。同社のビジネスモデルでは、求人広告の読者である飲食業の従業員が、独立時に同社で物件を探すという好循環も期待できます。
2社目は、事業者金融の営業から顧客層の中心であった飲食業に乗り込んできたG-FACTORY(3474)です。かつての 主力事業は2003年に買収した低価格うなぎ店「宇奈とと」でしたが、現在では2009年に参入した居抜き店舗の転貸による 利益が自社店舗をはるかに上回っています。同社のビジネスモデルは、居抜き店舗について借り上げ家賃に1割程度上乗せして貸し出すというもので、物件の評価能力とラーメン店を中心とする見込顧客層の構築が収益の源泉となっています。近年では、機器に関するリース業者の紹介など収益源がさらに多様化しています。
新品にこだわらず、費用とリスクを抑えて飲食店を開業する方向性は正しいことだと思います。情報仲介やリスク負担を 行うこれらの企業が成長し、居抜き出店が円滑に進むようになることは、社会全体にも望ましいことだと考えます。
リーマン・ショック後の不景気では居抜き案件が多く出てきており、それで成長してきた外食が多かった印象があります。外食は場所で決まり、場所はほぼ同じ地域に集中しますからね。
シンクロ・フードは、居抜き情報だけに留まらず飲食店経営に必要な情報を提供しており、他の不動産紹介業よりエッジがあると感じました。カカクコムを意識しているのかもしれませんね。17.02.07に株式分割、17.04.04に立会外分売を発表しており、早期の鞍替え上場を狙っているフシがあります。
G-FACTORYは、宇奈ととをまず食しに行かないといけませんな =)。直近ですと、500円ピザで有名だったNapoli’sの運営会社である遠藤商事HDが破産の影響を受けてしまったようで、これが1Q決算でどう織り込まれるかが注目点でしょうか。8千万程度の減損を食らうとなると、IPO銘柄としては見栄えが悪くなりましょう。私は様子見です =)。
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