5903 シンポ
<果てしなき浮沈の末に>
個人的に、牛肉を薄く切った料理の中では、直火焼きの焼肉は最高のものだと思います。かつては大量の煙が発生することで食べられる機会が制限されていましたが、無煙ロースターの普及によってあまり煙や臭いを気にせず焼肉店へ入ることが可能になりました。この動きを主導した企業がシンポ(5903)です。
同社は1971年に厨房機器卸として設立された企業で、創業者は根っからの営業マンでした。1978年、「完成していない製品でも売れる(同社幹部談)」彼の発案で、焼き網の周囲から強制排気を行うことにより、煙を気にせず焼肉を食べられるロースターの開発が始まります。ダクト内に溜まった油が発火し危うく火事になりかけるなどの苦労の末、1980年には世界初の無煙ロースターを発売しました。無煙ロースターの出現によって焼肉店の企業的な運営が可能になり、叙々苑や食道園など多くのチェーンが育ちました。1997年、同社は株式公開を果たします。
上場後の同社をめぐる環境は、必ずしも順調なものではありませんでした。2001年には国内で狂牛病が発生し、焼肉の人気が急落しました。ようやくイメージが回復してきた段階でリーマン・ショックが起き、その後の景気回復局面ではユッケによる食中毒事件がふたたび焼肉店のイメージを低下させました。しかし、たびたび厳しい局面が訪れ後発企業が淘汰される中、ダクトの設計能力や開店後のメンテナンス能力に優れる同社はシェアを高め、近年の牛肉人気に乗ることができました。現在は国内焼肉店の3分の2が同社のロースターを採用しています。
この銘柄は、バリュー投資家なら一度は目に付く銘柄です。シェアが高く、財務が良好で実質無借金経営ですからね。B/Sも見ておきましょうか。
いつものB/Sの確認。GMOクリック証券の財務分析より。
総資産の半分が現金で埋め尽くされています。ここまで現金が溜まるのは、多大な設備投資や研究開発費が必要なく、競合が少なく、価格競争に晒されていないからでしょう。
続いてFCF。
思った通り。投資CFが殆どない。財務CFも配当金くらいしか動いていないというね。
これだけキャッシュを稼いでいて投資先が大してないのだから配当性向を高くするべきなのだが、前期は23.8%で今期は15.9%と目も当てらんない。この業績なら40~50%は必要だろう。
去年の今頃は結構持ってたんですけどね、、、orz
同じような業態だと、鈴茂器工[6405]が近い。ここは回転寿司の機械を製造している企業なんだけど、やっぱりリーマン・ショックの影響で同業他社が倒れていったのね。なので、今となってはかなりシェアが高くなって同業他社が少ない状況なんです。ちなみに鈴茂器工のシャリマシーンの同業他社ってオーディオテクニカなんですよ。面白いでしょ。どうでもいいね。
鈴茂器工も去年の今頃は結構持ってたんですけどね、、、orz
ということで、財務リッチな企業というのは、残存者利益を享受しやすくなんのイベントもなく株価がスルスル上がる傾向があるので長期保有にはオヌヌメなのです。
- IR情報|焼肉無煙ロースターのシンポ株式会社
IR本拠地。決算説明会資料すらない。
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