6753 シャープ、資本金を1200億円 → 1億円に減資
減資で累損をなくせば将来の復配につながり、公募増資や資本提携なども進めやすくなる。また資本金を1億円以下にすると「中小企業」と見なされ、法人税への軽減税率の適用、外形標準課税の不適用など税制上の優遇措置も受けられる。
--- シャープ、資本金1億円に 大幅減資で累損を一掃 :日本経済新聞
結論から言うと、減資によって失う現金も権利もありません。
精々社会的信用が落ちる程度ですが、シャープに限ればほぼ関係はないでしょう。彼らに今必要とされている信用はメインバンクのみで、この減資はメインバンクの指示でしょう。
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折角なので何が行われるのか見てみましょう。
まずはいつものB/Sの確認。GMOクリック証券の財務分析より。
去年の決算時点での株主資本は約2000億円程あります(※正確には上記の図の株主資本は、株主資本ではなく純資産のようです)。
株主資本には大きく分けて資本金(1200億円)と利益余剰金(1350億円)の2つああるのですがこの内、資本金である1200億円を1億円にするのが今回のニュースです。
今期の決算で大型赤字が確定しておりメインバンクから2000億円程、借金をする計画を持っています。何もせず2000億円の借金を計上すると、株主資本の余剰部分である利益余剰金の1350億円を押しつぶしてマイナスになってしまいます。つまり繰越損失を引きずる状態になる事を意味してまして、実に見栄えが悪い。
そこで純資産の内、会計上の操作が出来る資本金を限界まで削って純資産ギリギリまで借金して何とか立ち直ろう、というのが 今回の意図かと思われます。この操作は、会計上の問題のみでして、株主総会で承認されれば実行可能です。
上記のB/Sを見て貰えれば分かる通り、この企業はほぼ銀行のモノです。B/Sの内、赤色の有利子負債は銀行、橙色の株主資本は株主のモノです。面積を見て貰えれば分かる通り、ここは借金で立ち直ろうとしています。株主資本で立ち直るのなら他社からの増資を受け入れるべきでした。
資本金を1億円の何故?
このように、資本金を1億円以下にするメリットを考えてくると、特に目的なく資本金が1億円を超えてしまっている企業は、資本金を1億円以下に する「減資」手続きを検討してみるのもいいのではないでしょうか。ちなみに減資の手続きというのは、株主総会の特別決議や債権者に対する公告等が必要なも のの、期間は約2ヶ月、費用は約25万円で可能です。詳しくは司法書士に相談されるとよいでしょう。
ただし、減資は、税制上等の特典にのみ目を向けて行うべきものではありません。特に、取引先、金融機関、株主、従業員等に充分配慮して、最終的には大局的見地から判断されるべきであることを付け加えておきます。
--- 企業経営で知っておきたい税金etc vol.4 「減資=資本金を減らす」という節税対策 税理士 今村仁|ビジネスコラム|仕事を楽しむためのWebマガジン、B-plus(ビープラス)
減資のメリットを最大限活かすのなら1億円、というのが定番っぽいですね。1億円未満だと税務署あたりが許してくれないのかも =)。
ちなみに資本金を増加させる理由は、概ね社会的信用を得るためというのが模範解答になるようです。日本に於いては資本金に意味合いは少ないのですが、海外だと未だに資本金云々で融資の話が進むとのこと。海外展開が視野になければ多分、資本金は少なくて大丈夫でしょう。
上場企業で資本金1億円以下ってどれくらいあるの?
ようやく本題だ =)。
ということで上場しているのに資本金を少なめにして税優遇を享受している銘柄を抽出しようってのが今回の目的。1円起業が出来るようになったのは最近の事ですし、社歴が長いと1億円以上にはなってるんじゃないかなと言うのが私の予想。
今回は手っ取り早く「らくらくスクリーニング」を使います。
- 『検索パレット』にある『らくらくスクリーニング』を選択
- 項目一覧から『会社基本情報』→『紙面・資本金』→『(直近)』を選択
- 演算子から『<=』を選択
- 条件値に『100』と入力
- 『検索』ボタンを選択
結果は以下の通り。
正解は31社でした。少なっ。
税優遇があるんで200社はあろうかと思ったんだけど、割と面倒臭がりなんだろうか。IPO直後の銘柄やら訳あり銘柄が多い中、9449 GMOインターネットが混ざってるとか胸が熱くなりますな =)。
(追記:15.06.05)
日本マクドナルドHDの子会社である日本マクドナルドの返答。
税金もコストです。コスト削減への努力が出やすい項目ですので、まあ税制の更新が遅いのが原因でしょう。仕方ないね。
(追記:15.06.05)
当社は、大法人に該当する持ち株会社の100%子会社であることから、税務的には大会社に分類されています。資本金1億円以下の会社に対する法人税の特例は対象外となっているため、メリットは受けておりません。
一方、住民税均等割と事業税(外形標準課税の対象外)などにメリットはあり、グループ全体で最適な資本政策をとって顧客価値向上への投資と株主還元に資する利益の最大化を行っております。これは株式会社の義務のひとつであると考えております。
-- 大きな「中小」企業、それぞれの主張 :日本経済新聞
日本マクドナルドHDの子会社である日本マクドナルドの返答。
税金もコストです。コスト削減への努力が出やすい項目ですので、まあ税制の更新が遅いのが原因でしょう。仕方ないね。
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