3230 スター・マイカ
<企業の発展段階に対応した、社長交代>
企業の経営者にとって、新規に事業を興すのと完成した事業を運営していくのとでは、必要とされる能力がかなり異なります。米国のベンチャー企業では、起業に特化した経営者が存在し、事業に目鼻がつくとIPO(新規公開)前でも株式を売却して、自らは新たな事業を立ち上げる例がしばしば見られます。社会全体の流動性が低い日本ではこのような例はあまり多くありませんが、創業者が企業の発展段階に対応して若いうちに経営を交代することは徐々に増えてきました。その一例が当ファンドの投資先であるスター・マイカ(3230)です。
同社は外資系証券会社に勤務していた水永政志氏が2001年に創業した不動産投資会社です。水永氏は賃貸に供されているファミリー向けマンションが面積の割に家賃が取れないため流通市場で不人気であることに着目し、割安に購入して入居者が退去するまでは家賃で金利を支払い、退去後に改装して自己居住希望者に転売するというビジネスモデルを築き上げました。この事業は多額の長期資金を必要としますが、当初は銀行が十分な理解を示さなかったため、証券会社時代の大口顧客を募ってファンドを組成するという工夫も行いました。知的で業際的な経験の豊富な水永氏は、不動産市場の歪みを事業化につなげるという点においては、まさに理想的な経営者だったと言えるでしょう。
しかし、2006年に上場してしばらくすると、経営面でマンネリ感が出てきた面も否めません。優れたビジネスモデルを創出した企業にありがちなことですが、いったん事業を理解した後は取材時の質問内容もあまり拡がらず、マクロ経済の話などを多く行なっていた記憶があります。無理をしなかった分、リーマン・ショックによる損害は最小限にとどまりましたが、業績は伸び悩みに転じました。そこで、水永氏は昨年50歳の若さで会長に就任し、後任に不動産業界一筋の秋澤氏を指名しました。社長交代後は、地域の需要に合わせて改装の方針を使い分けるなど、より泥臭い部分で改善が見られる模様です。自分が作り上げた会社にいつまでもしがみつくのではなく、現状で最適な後継者を早く見つけるという考え方は、主流にはならなくとも今後徐々に広がっていくでしょう。
この銘柄については、過去何度も取り上げているので、特に記載するべき事項がありませぬ。
IR情報の決算説明資料の出来がドンドン良くなってますね。個人投資家を意識した対応なのでしょう。いい事です =)。
以下は会長職に退く時の開示情報です。
この度、第15期(平成27年11月期)の事業年度開始を迎えるに当たり、順調な業績の拡大に加え、経営基盤が充分に強固となったことから、今後の更なる会社の成長を見据え、社長交代の節目と判断いたしました。この背景としては、株式会社が、個人を超えた「永続的な存在」として、株主、取引先、社員等のステークホルダーに対し社会的責任を果たし続けるためには、いずれかのタイミングで会社を創業者からうまく独立させ、徐々に所有と経営の分離を進めていくことが、創業者としての大切な役割であるという、水永自身の信念でもあります。
-- 代表取締役の異動に関するお知らせ (PDF, 14.11.17)
次の世代へのバトンタッチまでが経営ですよね =)。
- http://www.daiwasbi.co.jp/products/search/fund/pdf/20150930_kogataSB37M.pdf
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