2019年12月10日火曜日

ひふみ投信「第11期 運用報告書(全体版)」を眺めてみる (全体編)

ひふみ投信まとめページ

19.11.22に公開された運用報告書を眺めながらキャッキャウフフするのを目的にしています。ひふみ投信まとめページに過去記載した記事がありますので参考にどうぞ。今回は前期のページを踏襲する形にしますので、前回と変わらない部分も多々あります。


日本株編外国株編もどうぞ。


「ひふみ投信」と「ひふみプラス」


ひふみ投信には、ひふみ投信の他にひふみプラスという姉妹ファンドがあります。どちらも「ひふみ投信マザーファンド」というマザーファンドを組み入れており運用実績は同じです。

売買の利便性は「ひふみプラス」の方がいいでしょう。

ひふみプラスは、証券会社経由から売買注文を出すことができるので便利です。株との損益の合算も同口座内でできるのはありがたいでしょう。有名なネット証券会社ならまず取り扱いがあります。


ひふみ投信の活動を応援するつもりなら「ひふみ投信」をオススメします。

ひふみ投信は直接販売を目的とした投資信託なので、購入するには口座を開設する必要があります。運用会社と販売会社を兼ねているひふみ投信では丸々、信託報酬が手に入るので運営が楽になります。また、月一回行われる報告会であるひふみアカデミーに参加できたり、長期保有者を優遇する資産形成応援団(信託報酬一部還元方式)のサービスを受けることができます。


「ひふみ投信」と「ひふみワールド」


ひふみワールドひふみワールド+)は、ひふみ投信の外国株を別の投資信託として設定したものです。'19/09に新設されました。

ひふみワールドについては以下のページが参考になろうかと。


ひふみ投信の外国株比率は最大20%程度までに留めたいらしく、それ以上組み入れたければひふみワールドを活用してほしいという設定のようです。


運用実績


年間で△14.3%、TOPIX(配当込)が△10.4%なので、TOPIXを下回る運用になりました。

私の印象では比較的ボラティリティの低い相場は得意だったかと思ったのですが、大型株中心とした金融相場に乗れなかったのが敗因の原因かもしれません。株式の組入れ比率が98%近いのもやや気がかりでしょうか。


ベンチマーク



ひふみ投信はベンチマークは設定していません。参考としてTOPIX(配当込)と比較しています。

ベンチマークは、アクティブ型投資信託が運用比較のため設定するものでしてベンチマークを上回る運用が求められます。ベンチマークを設定している投資信託は運用の良し悪しを判断しやすいのですが、ベンチマークに似たポートフォリオを作らざるを得なくなり運用の自由度が減ります。

ひふみ投信は、TOPIXに勝ち、定期預金に勝ち、ライバルに勝つことを目標としています。今期は、TOPIXにも預金にもライバル(グローバル3倍3分法ファンドあたり?)にも全敗してます。巻き返しに期待したいところでしょう。


分配金



今回も分配金はありませんでした。

上記の記載ですと場合によっては、いずれ分配金が出る可能性がありそうな雰囲気ですが多分、今後もずっと出ません。投資信託の社交辞令みたいなもので気にしなくて大丈夫です。

一般的に長期運用では分配金は出ないほうが有利です。分配金で定期的に運用資金を削るより、分配金を出さずに運用を続けたほうが複利効果を得ることができます。複利効果により、より資産を膨らますのは資産運用の基本と言われています。

ただし、複利効果はプラスにもマイナスにも働くので、資本を定期的に現金化することでマイナスの複利効果を避ける意味合いはあると思います。このあたりは考え方次第ですが、株式投資はプラスサムですので長期的にはプラスに働くことが多いと信じることができるのなら、そのまま運用した方が良い結果が、出るといいですね。

少なくとも私はそう思ってます。

分配金が欲しいのなら定期的に少しずつ解約していく手があります。強制的に現金化するよりは融通が効いていいんじゃないでしょうか。


売買高比率 (売買回転率)



今期の売買高比率は0.69と過去最低の数値となりました。これは大きな変化と言えるでしょう。

売買高比率は、高ければ高いほど積極的に株式売買を行っていることを示しています。つまりこの数値が高いほどトレーディングによる利益が大きくなります。逆に小さくなると株式を保有したままキャピタルゲインを狙う投資になります。

0.69という数値は、アクティブ型投資信託の中でも売買を多く行ってない部類になります。ちなみに殆ど売買を行わずに保有したまま運用するインデックス型投資信託ですと大体0.1~0.2程度で収まります。また2.0を超える場合、全保有銘柄を全部売って買い戻すとこの数値になります。資産を一回転させるというのはかなりアクティブな運用と言えます。

初期のひふみ投信は、概ね3.0を超えた運用でした。稀に見るトレーディングに拘った運用でしょう。今時、3.0超えしてる投資信託なんてみたことありません。


運用資産が増えたのが原因でしょうね。

ここまで回転率が落ちるということは運用方法からトレーディングを諦めたということになるでしょうね。となるとTOPIX運用に近づくことを意味するわけでして、如何に運用にエッジを出していくかにかかっています。


運用コスト


信託報酬は年1.0584%と決められています。若干、ズレが生じているのは信託報酬を日々1/365として抜いているからです。資本が増えてる場合、希薄化されますが、減ってる場合、取られすぎということもあるでしょうね。

その他、大きいのは「売買委託手数料」になります。これは株式売買の手数料です。売買高比率が落ちていますのでこの手数料も0.190 → 0.094に減っています。


組入比率



組入比率は98.3%とほぼフルインベストメント状態で、現金は残さずほぼ株式として組み入れています。

ひふみ投信は、運用方針として50%まで現金で運用することが可能です。資産運用では、相場状況が不安定になってきた場合は現金が一番強いと言われています(キャッシュイズキング)。悪い相場状況でも最大限の効果を発揮するためにも現金化は強い武器になります。

98.7%を株で運用しているということは10月末時点では株式相場に自信を持っていたということかもしれません。

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