<リーマン・ショック前には似ていません>
2015年の初めからおよそ1年半にわたって続いた内需株相場の中で、唯一取り残されていた内需セクターが不動産です。建築コスト上 昇に苦しむ一次取得者向けマンション分譲業者を除けば業績好調が続いているにもかかわらず、株価が不振であったため、現在は極 端に割安な状況となっています。人によっては、高値圏での物件価格上昇率鈍化を見て、リーマン・ショック直前の状況に近づいている と考え、反落リスクを強調する向きもあります。しかし、当ファンドでは不動産市場の現状はリーマン・ショック直前よりはるかに健全である と考えており、中期的に反落するとは考えていません。以下にその理由を列挙します。
①リーマン・ショック前に比べ危険な取引が少ない…2006から2007年にかけては、ファンドで大量に借入を行い新築物件の開発を行う 例が多く見られました。それに対し、現在新築物件の開発は主に不動産会社本体で行われており、借入期間も当時よりはるかに長期化 されています。
②建築費の上昇が供給制約要因となっている…建築費の上昇は開発業者にとってはコスト上昇要因ですが、既存物件を保有している 業者にとっては競争の緩和要因でもあります。ホテルや東京都港区の大型オフィスビル、外環道沿いの物流施設など一部の分野を除く と新規物件の供給は多くなく、過剰供給による市場崩壊のリスクは小さいと考えます。
③他の投資対象が魅力を減じている…リーマン・ショック以前には、まだ日本の長期金利水準はプラスでした。また、世界的に見れば、 中国を筆頭とする新興国の急成長が長期的に続くと予想する見方も多くありました。それに対し、現在国内はマイナス金利下で有効な 投資先が減少しており、一方で運用難の海外資金が日本に流入する可能性もある状況です。
④反社会的勢力の関与が減少した…個人的には、2008年の市場崩壊の引き金を引いたのは、世界的な金融状況というよりも、反社会 的勢力の関与増加に対する当局の危機感であったと考えています。2008年にまず融資を絞られ倒産したのは反社会的勢力との繋がり を指摘された業者でした。現在は当時に比べると業界の浄化が進んでおり、社会的な面から業界に圧力がかかるリスクは低下していると判断しています。
一部のマンデベ以外、不動産業はそんなに悪くないよって話。株価比較してみましょうか。
緑の線がTOPIX、橙の線がTOPIX33業種の不動産。
年前半は調子が良かったんですが7月あたりで下落、10月後半から巻き返し、といった感じ。時期からすると原油が下落したあたりと合うので、原油に関係しそうな政府系ファンドの資金引き上げの影響とかが関係してそうですね。
危うさは無いにしろ、今後の不動産市況が今以上に良くなるかと言われるとやっぱりビミョーですかね。都市部の不動産賃貸業あたりは大丈夫かと思うんですけど。
不動産業は苦手です =)。
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