ROEってそんなに悪手ではないと思うんですよ
山崎センセは年金運用に関わりのある人なので、中でなんか嫌なことでもあったんでしょうか。感情に訴えかける場面が多く、精彩を欠く文が多くなっている印象があります。
で、ROEですか米国投資家が滅法好む指標でして。物価の関係上、資金調達コストが高くすきあらば株券を刷ってしまう資本主義の経済でして、そんな流れからROEに偏重する投資家が多いんだろうと推測します。
企業は上場している限り、投資家を選べません。上場を続けるつもりがあるのなら投資家に向けてメッセージを発するべきであって、陰口をたたいたり陰湿に嗤うことが正しい態度とは思えません。
JPX400指数については私も疑問が多いです。事業内容によって「持つ経営」で利益を上げるビジネスモデルもありますので、ビジネスによって適切なROEというのが存在します。それを無視してROEの高い企業だけすくい上げるのは、素行の良い投資とは思えません。セクターのバランスあたりも考慮していただきたいものです。
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一般的にROEを向上させるのは利益です。ですが利益が向上しないでもROEを高める手法はあります。
- 銀行から借金をして新規事業にぶっ込む
M&Aや小売業やサービス業では上手くいくケースが多いです。要は利益無視で出店しても少なからず利益は出るのでこの時点ではROEは向上します。逆に株券を刷って資金調達した場合、株主資本を増やすことに繋がりますのでROEは悪化します。米国の投資家が嫌いそうなイベントです =) - 自社株買い
自社株買いは株主資本を減らす効果があるのでROEが向上します。少し前に借金をしてその資金で自社株買いを行った企業がありました。株主資本に対するコストが高いと踏んだんでしょう。後にこの企業はMBOします。 - 増配
収益から得た現金は使い道がなければ株主資本を増やすことになります。株主資本が増えれば当然、ROEは悪化します。事業の成長に必要のない資本は株主に還元するのが一般的でしょう。業績が変わらないのにROEが悪化している場合、現金の持ちすぎが考えられます。
ROEの財務レバレッジの功罪ですね。
1.のケースは悪手なのは分かるでしょうか。無闇矢鱈に事業を広げてしまい利益が付いていかないパターンでして、そうなると一時的に利益を出すことは容易であっても利益を出し続けることは難しくなります。このパターンにハマると致命傷を受けるまで次々と新規事業に手を出すことになります。
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今まで、日本市場でROEがないがしろにされてきたのはデフレだったからではと考えています。デフレ故に成長コストが高く、資金効率が悪いまま放置され、資金調達コストが安いままの状態が続いてきました。
ただ今後はどうでしょう。政府の思惑通り、デフレを脱却した場合、経済は米国型の資本経済で復旧すると見ています。失われた20年は日本の経済成長の根幹を失いました。もう日本式には戻れないでしょう。
ともならば、ROEを指標として掲げることはそんなに悪くないと思うんですよ。
もっとも同業他社と比べて低いROEで、毎年ROEを減らし続けている銘柄に投資したい投資家ってのもなかなかいないと思うよ。少なくとも俺は買わないし、保有するとしても2〜3ヶ月が限度かな。でもMBO狙いの銘柄は結構長く保有するな =)
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まして、現在企業経営にとって真に稀少な資源は、資金よりも人間(特に有能で競争力を持つ人間)にシフトしつつある(筆者の思うに、「資本家の時代」はすでに終わっている。今は、その「余韻」だ)。
株主総会に出席でもすればそれが幻想だってことに気が付きます。
人への投資は資本効率が悪く利益が出にくい特徴があります。どんなに教育してレジ打ちが上手くても利益に寄与するのは僅かでしょう。人への投資は優れたビジネスモデルに対して有効であって、殆どの事業では教育コストはマイナスでしかありません。だから失われた期間が20年も続いたんです。
思うに上場するに至らない企業ばかりなので速やかにMBOなどしていただけると主に私が助かります。
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