2019年2月24日日曜日

定率法 → 定額法の減価償却変更は注意せえよって話 - おまえらのための株式投資

おまえらのための株式投資まとめ

茶番


最近、定率法から定額法に切りかえる企業が多くなったねえ。

「なんですかそれ?」

減価償却には定率法と定額法の2通りあるんだけど、定額法にして利益をかさ増ししているところが目立つんよ。

「利益が増えるならいいんじゃないですか?」

短期的にはね。つかこの話、ずっと前にもしてるし、貸してる書籍にも書いてあったやろ!俺に聞くな、本読め、本。

「えー聞くほうが早いじゃないですかー」

便利屋か俺は、、、orz


減価償却費とは


事業を行うには、様々な設備投資や固定資産が必要になるのですが、高額で複数年に渡って使用できる機器や建物などは、購入金額に対して一括して費用として認めてくれません。

例えば自動車ですと耐久年数は6年と決められており、購入費用は購入してから6年間で按分して計上されます。全部費用として落とせると、利益分を4ドアのベンツを購入して節税し始めますからね。そうは問屋が卸さないというわけ。問屋じゃなくて税務署ですけど。


定率法と定額法


減価償却には定率法と定額法の2通りの方法があります。

分かりやすいのは定額法。定額法は、費用を平均額に按分して費用とします。先程の自動車の例だと購入額600万円で毎年100万円の減価償却費が計上します。

定率法は、費用を一定率で按分して費用とします。600万円の自動車の場合、償却率が20%だとすると初年度は120万円(600*0.2)となり、次年度は96万円(480*0.2)と、計上できる費用が初年度に多くなり年々少なくなります。

実務はもう少し面倒な計算なんだけどイメージとして捉えてください。

ざっくりいうと、定率法は定額法に比べて初年度に費用として計上できる額が大きくなり、その分、利益が減ります。

費用の先払いをしたい場合は定率法を、そうでない場合は定額法を選ぶ傾向があります。


定率法から定額法に切り替える意味


キモは税金です。

ひとつ重要なのは既に支払いは終わっている、ということです。現金にだけ注目すれば失った現金は、定率法でも定額法も同じです。購入した支出を先に計上するか後に計上するかの違いになります。

定率法を採用して費用を先に計上する場合、費用が増えますので利益は減ります。利益が減るということは、納める税金の額が減ります。現金にだけ注目すれば、初年度の税金が減るわけですから当然、手元の現金も増えます。税金を後払いにすることで、手元の現金を多く持っておく効果があります。見た目の利益は減って印象は悪いですけどね。

定額法を採用した場合、定率法と比べて納める税金額は増えます。ただし見た目の利益は増えます。

手元の現金は、定率法でも定額法でも同じ。そいうことです =)。

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どちらを採用するのかはケースバイケースですが、積極的に設備投資を続けていく必要がある製造業は、定率法を選択する傾向が強いです。なぜなら、また翌年、設備投資をしてその分で利益を重ね、その利益でまた設備投資をするので、上手く行けばどんどん税金を繰り延べていくことになるんですね。

税金を前払いするより設備投資がしたいんです。

定率法から定額法に切り替えるということは、設備投資が一段落ついたのか、もしくは公募増資などのエクイティファイナンスに興味を持ち始めたのか、あまり良い印象はないんです。とはいえ、IFRSは定額法を推していて、国際的にも定額法であるので日本企業もそれに合わせるケースも出てきているので何とも言いようがないんですよ。

定率法 → 定額法の減価償却変更は、会計的な利益であって会社の利益成長とは無関係であることは覚えておいてください。

元ネタのブログを忘れてしまったのですが昔、シャープが堺工場を建ててブイブイ言わせてた頃にひっそり定率法から定額法に切り替えていたのを気付き、成長鈍化の可能性を指摘していた人がいました。会計の専門家の人なのですが、その頃はピンと来ませんでしたが今に思ってみれば流石でしたね。


見かけた例


イボキン[5699]の場合


2018年12月期の決算説明資料より。


会計の変更がなければ1億円程度のコスト増となっている計算になりますよね。

業績予想は以下の通り。


1億円の会計的なコスト減がなければ、ほぼ前年と同じ営業利益になります。成長企業ですよねと言われても私からは何とも。株価は堅調で何より。

上場初年度決算で会計変更ですかそうですか。


ズーム[6694]の場合


以下は、2018年12月期決算短信より。

なお、2019年より、適切な費用配分の観点から有形固定資産の減価償却方法について、定率法から定額法への変更及び一部資産の耐用年数の見直しを予定しており、この変更による影響で、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益がそれぞれ186百万円増加する見込みとなっております。

約2億円のかさ増しですか。

決算内容は以下の通り。


業績予想は以下の通り。


売上成長は、いいとして利益ベースで見ると、かさ増しの分がなくなると寂しい印象があります。利益が改善しましたね!と言われても私からは何とも。株価は堅調で何より。

つか上場3年目で会計変更とかなんか息切れしてませんかね、、、。創業陣営の株式売却も気になるところです。

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