事業概要
メンバーズは、ソフトウェア請負(大企業向けWebサイト運用支援が主力、EMC事業)、派遣(ベンチャー企業向け派遣中心、PGT事業)を行う企業。
ソフトウェア下請けは、労働集約型になる。人頭を揃え、短期間で教育を行うことが事業成長に繋がる。単価の引き上げは現状の仕事よりより高単価な仕事を請け負わない限り難しいと思われる。
QonQ ('22/2Q)
増収増益要因
従業員数の増加による。
新卒を中心に人材確保を積極的に行った事により1Qでは大幅な減益を計上したが、下期にかけては、実習生から現場に派遣され徐々に売上を上げていくことになる。現時点では大幅な単価下落、稼働率低下はみられない。
離職率の低下はコロナ禍による影響が大きいと思われる。緊急事態宣言による転職活動の低下や補助金による賃金減への対応により転職需要が低かったと想定。今後、余剰人員の削減や転職活動の再開により、社会全体として離職率が上がってくると考えている。
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労働集約型のビジネスに於いて従業員数は重要なKPIとなり得る。
ソフトウェア下請けでは、最低でも10%程度の従業員増が成長には必要だと考えている。離職率は低ければ低いほどいいが、この業界では20%程度が平均で、上場企業なら10-15%程度なら及第点で、10%を切っているところはかなり優秀である。
余談だがSHIFTの丹下社長は成長企業ならではの亀裂があり10%まで離職率を減らすことは困難であると発言していた。企業文化により離職率に差が出るのかもしれないが、一方で人材募集に人件費を増やすことは得策ではないと私は考える。
今期のメンバーズは+24.9%増とかなり積極的だ。これはかなりリスクが高い。彼らが稼ぐまでの費用が増加するし、教育の用意が必要になる。求職者との齟齬により離職率が上がる可能性もあるだろう。とはいえ雇用が出来た時点で、求職者には魅力的な企業に映ったはずでこの点は評価に値する。
アフターコロナでも同様のペースで雇用できるかどうか注目したい。
今後の考察
EMC事業にて不採算案件の発生により下方修正、決算発表後の株価下落の要因となった。
不採算案件とは、請負側と発注側の齟齬により、納期が遅れ、コストが嵩み、売上よりも費用が上回った事業の事を指す。引当金があてられたのはキャンセルされることも想定していると思われる。
この手のリスクを低減する方法は様々あるが、完全になくすことは難しい。よくありがちなのは営業マンがノルマに駆られて無茶な受注を請負、現場との齟齬が発生することが不採算案件につがなりやすいのだが、現時点では需要が多く、請け負う側が仕事を吟味できる環境下にあるので起こりにくくなっている。その他、発注側・請負側の無知、コミュニケーション不足、致命的な障害発生など様々。今回の件がどいう内容だったは、機密保持契約により公開されないとは思う。
今後も不採算案件が続くようだと、警戒したほうがいい。
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仕事の引き合いが落ちる可能性は現時点では想定していない。
同業他社としてCTCやUT groupあたりをみているが、どこも受注は堅調である。コロナ禍でIT投資がより積極的になったと考えており、この状況は今後の不況にあっても続くとみている。
アフターコロナでは、有効求人倍率が飛躍的に上がり、一方で離職率も上がる傾向になるとみている。賃金が上がる環境はできつつあるし、いずれ出てくる賃上げ減税の枠組み次第では更に加速するであろう。現時点で人材確保が出来ている企業は既にアドバンテージを持っていると私はみている。
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(21.11.08:追記)
決算説明会の質問にて今回の不採算案件の説明があったので引用する。
従来のウォーターフォール型からアジャイル型に移行することでこの手の問題の改善としたいとあるが、これは発注側との兼ね合いもあって難しいと思われる。現時点では短納期の受注にシフトすることが最善ではないだろうか。
離職率が去年比で増えた質問があったが、今期6.5%でっせ。十分立派なんだが。結局コロナの影響で去年は転職マーケットが停滞したものと分析してるとのこと。
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