2012年4月25日水曜日

'12/03の「担当ファンドマネージャーの見方」

大和住銀日本小型株ファンドの月次。3月は2178トライステージ

<保守化する国内個人消費>
当ファンドの投資対象で、2009年5月の当レポートで取り上げたテレビ通販専門の広告代理店トライステージ(2178)が近年伸び悩んでいます。大手スポンサーのテレビ回帰により安価な放送枠・広告枠が減少していることも一因ですが、より大きな原因は同社の担当する企業でヒット商品が生まれにくくなっていることです。
同社は決して一発のヒット商品によって上場にこぎつけた会社ではなく、ヒアルロン酸コラーゲン、豆鼓エキス、プラチナゲルマローラー、ニキビ治療薬など多くの商品を世に送り出してきました。上場後は通販分野に新規参入した大企業の製品も数多く手掛けています。しかし、近年は既存顧客・新規顧客とも期待したほどのヒット商品がテレビ通販では生まれず、同社の特徴である販売実績の目標超過分に対するボーナスを受け取れていません。同社によると、この状況はテレビ通販業界全体に共通していることの様です。
ヒット商品が生まれにくいという問題は、テレビ通販だけに限ったことではないように思われます。ここ数年、国内消費における新規性の高い大ヒットと言えばスマートフォンとSNSゲームくらいで、その他はいずれも従来からの流れに乗ったものか小粒なニッチ分野にとどまっています。小売店もほとんどの業種で10年以上前に勝ち負けがついており、近年は勝ち組と負け組の格差が開いているだけという感があります。テレビ番組に取り上げられた外食チェーンに客が押しかけるという現象すら、一時期のような迫力はありません。実は消費者が新しいものを求めていないのではないか、という疑念すら生じるほどです。
国民の高齢化や、若年層への所得分配の減少という社会的背景を考えると、こういった状況はむしろ自然なことかもしれません。文化的成熟や環境負荷の低減といった観点からすれば、むしろ望ましい方向性と言うこともできます。また、過小評価されている勝ち組企業への長期投資を基本とする当ファンドにとっても、実は都合のいい状況です。しかし、「これで長期的に経済全体のバランスがとれるのかどうか」という点に関しては、不安を打ち消すことができません。

この企業は珍しく月次を公開していて、日々の業績が悪くなる様を目の当たりにしていました。上場したのが'08/08で比較的社歴も新しい方かと思います。上場当初はかなりの成長意欲があり環境も悪くなかったからか人を多く雇い、環境変化に遅れていた感じを受けています。

似たようなケースで4659エイジスという企業があります。ここも月次を出しており、日々業績が落ちていく様が観察できます。ニッチの分野で成長株としてもてはやされていましたが、最近の景況感ですとエイジスのサービスを利用する顧客が減っており、てこ入れが必要な状況に立たされています。

成長株から割安株へというパターンだと割安であっても株価は重い、というのが私の感想です。

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