2019年8月29日木曜日

日経IRフェア2019、ダイジェストメモ

IRフェアまとめページ




ということで行ってまいりました、日経IRフェア2019。

今年はGunosyの株主総会が重なってまして1日目は午後からの参加になり、いつも時間不足なのに今回は更に時間不足でして、定番で参加している企業よりもあまりIR活動をしていない企業を中心に回ってきました。

初日、2日目と参加したのですが、どうも例年より来場者数が減っているようです。


来年は東京五輪と重なることにより会場が取れていないらしく、開催すら危ぶまれている状況のようです。どうなることやら。

ということで今回もメモ書きのみの対応になります。サービス低めでご了承のことよ。


クボタ[6326]


農機具で国内首位。時価総額が高い(1.9兆円)の割にPERの低さが気になった。コマツ[6301]も低PERなんだけどさ。

海外売上68%、東南アジアで高シェア。アフターサービスの強さがシェアの高さの秘訣らしい。代理店任せにせず直接メンテを行ってる。売上に対しての比率を聞いたが非開示。メンテは景気が悪くなっても需要は落ちにくいので投資家へのメッセージになるはずなんだが、ざっくりとした数字すら持ち合わせていないとのこと。機関投資家からツッコミはないんだろうか。

日本市場ではIT農機に注力。日本の農業は個人事業主レベルが大きく法人からの参入障壁が高い中で、高価格のIT農機が果たして売れるのか気になって聞いた。現在、農業は転換期にあり、農業法人が農業の大型化を目指しており若人も農業に参入しているから伸びるであろう、という話だった。とはいえ未だに減反政策を続けている状況でどうやって大型化が実現するのかは疑問。このへんはIR担当も詳しくなかったので追求せず。つかビジネス環境をしっかり説明できないのはどうかとは思うが。

IT農業の軸であるKSUSというネットワークサービスを伸ばしているが国内のみ。むしろ海外の方がIT農業は受ける気がするんだが。米国は特にIT農業が盛んだしね。米国では小型農機が強いが大型農機のシェアが取れておらず課題。このあたりのアタッチメントを製造している企業をM&Aをしたいらしい。コマツのネットワークサービスのパクリの印象があったので、レンタル事業には向かわないのか聞いたが、その意思はなさそうだった。

DOEは検討していないのか聞いたが、この質問だけはきっぱり採用する気がないと言われた。決算説明会の動画を公開してほしいと要望しておいた。

大企業の割にIRがイマイチというケースは珍しい。今まで注力してこなかったのかな。


タナベ経営[9644]


会社説明会のみ。説明会には社長が対応。今回初出展だと思う。

全国に事務所があり、地域密着型コンサルティングに強み。売上高50~1000億円規模の社長をターゲットにしている。社長相手だとリピート率が高いんだそうな。最近は中計や後継者問題への悩みが多いらしい。1Qは人件費増により減益になっているが挽回可能。配当性向60%と高い。

中計は強烈な売上成長は見られないものの、確実に成長していく意思は見られた。後継者問題の話があったのでM&A支援事業は行わないのか聞いた。M&A支援は注力しており、専門の部署を立ち上げている。M&A支援会社ほど売上が出ない理由は、M&A支援会社は売り手と買い手の両方から手数料がもらえるが、タナベ経営は買い手側の支援なので片方しか売上にならないのが理由。

流石、コンサル上がりの社長、印象は素晴らしくよかった。


浜松ホトニクス[6965]


光学系の部品に強み。真空管は大量生産が難しく、大手が抜けてしまったことで残存者利益を享受している。日本企業では珍しく研究開発型企業。

ハイパーカミオカンデについて聞いたが、今回のニュースは予算の計画が発表されただけで実際に決まったわけではないが、精度は高い情報なのでこのまま決まるのではないかとのこと。


売上は早ければ2年後から40億円程度を5年かけて分割して支払われる予定。ただ本来の計画からは随分トーンダウンしてしまったらしく今後も学術予算は減らされる一方なんだそうな。この手の学術目的の売上は全体の6%と案外少なかった。

今期の減収要因はFA、半導体装置の売上減の影響をモロに受けている。主力の医療機器系は置き換え需要、新興国への伸びにより伸長を続けている。

売れ筋は自動運転用のセンサー。位置の測定に精度が要求され、医療機器で培った技術を転用している。大量生産は苦手という印象があり、仮に自動運転で採用されるようになったらどうするのか聞いたが、真空管から半導体への置き換えが進んでおり、大量生産も実現可能とのこと。私の印象では多分、大量生産は他社にライセンス提供する気がしてる。

株主総会後に工場見学をお願いした。


信和[3447]


足場製造。新型足場で業界のシェアを取っていく。

中計を開示しない理由について聞いた。当然、内部には存在するが、現段階では不確定要素が多く開示することによるデメリットが大きいとみている。不確定要素は消費増税と東京五輪の影響が大きい。現在、工場はフル稼働で好調なのだが、需要が伸びている理由が消費増税の駆け込みとするとその反動がどの程度になるのか想定できない。東京五輪の工事が一段落し始め、今まで東京五輪で人手が奪われていた地方の事業に労力が分散していく段階に来ている。足場が都心から地方へ移動している状況で、今後の需要が読みにくいことも影響している。

受注から製品までのスパンは約1ヶ月。割と早い印象。9~10月の引き合いがどの程度になるかに注目したいところ。少なくとも消費増税直前までは需要は高そうだ。

成長性となると海外展開が必要不可欠になる。国内ではせいぜい5~10%の売上成長で止まってしまう。海外、特に東南アジア圏では作業員の命が軽く、未だに竹を組んだ足場が活躍している。直近、中国で竹の足場が崩れ多くの作業員が亡くなった事件があり、新型足場に注目が集まっているとのこと。アルコニックス[3036]と中国企業との合弁会社と組んで、新型足場の出荷を開始している。需要が高まれば工場建設を検討したいとのこと。

足場レンタルについては相変わらず手を出す予定はないそうだ。アルインコ[5933]の自社レンタル事業も同業のレンタル会社と競合にならないよう、彼らの穴埋めをする感じで事業を伸ばしているとのこと。レンタルは顧客が競合になってしまうリスクがあるので慎重にならざるを得ないんだろう。ちなみにアルインコの製造部門だけ取り出すとかなり高い利益率なんだよね。両社ともPER9倍台と実に惜しい。

成長性は海外事業の進捗次第とみました。中計も段取りがみえた時点で開示されるものかと思います。


フィックスターズ[3687]


ソフトウェア下請け。高速化に特化。この企業は人材確保がキモ。9割の技術者以外は最低限のホワイトカラーとIR担当と人材採用のみの構成。特に人材採用には注力しているようだった。

3月時点で従業員198名だが現段階だと210名程度に増加。基本的にこの企業は人月の神話よろしく、人の数で売上が決まるソフトウェア下請けと同じ構造であるものの、利益率は異様に高い。高速化の技術はソフトウェアはもちろんハードウェアにも精通している必要があり、その手の人材は異様に少ない。

量子コンピューターについて聞いたが特に大きな進捗はなさそうだった。ハードが進化しないとソフトウェア屋さん出番はない。

SaaSサービス(Sleeek)は現在、お試し期間中。このサービスを広めていくための営業を聞いたんだが今の段階では特に考えていないようだった。流石、営業が一人もいない企業ではある。知ってもらわなければ使ってもらえないことが分かっていただけない。創ることより重要なんだぜ、、、

ハードウェアの売上については、一時的な要因が大きい印象。日立向けの医療機器用画像認識システムは利益率が高く、順調に売れているが売れ続けるかどうかは不明。全体としてハードウェア販売の利益率が低い理由を聞いた。上記の特殊なシステムは比較的利益が出るのがだが、中にはPCにちょっと設定を加えただけというのもあり、利益率を落とす要因になっている。

この企業のKPIは明らかに従業員数です。予定では年間10%の従業員確保を目指しているとのことですが、はてさて。


やまびこ[6250]


農林作業用機器の製造。

去年は米国の冷夏の影響で機器が売れなかったが、今年は猛暑らしく売れ行きは好調。米国では個人向けの草刈り機や枝切り機が主力なんだけれども、冷夏だと草があんまり生えずに機器も必要がなく売れ行きが悪くなるって寸法。米国の天候には注意されたい。米中貿易戦争で、一部の製品で関税の影響は受けている。

芝ロボットは欧州から米国に展開中。ホンダも同様に芝ロボットを製造しているが、彼らより大型なので競合することはないとのこと。日本でも展開したいようだが、日本の場合高低差が激しいから開発が難しいんじゃまいかと聞いたら難しい顔をしてた。


古野電気[6814]


魚群探知機の製造。会社説明会のみ、社長が対応。今回初出展

過去、競合が多く参加していたが魚群探知機の利用を顧客に説明するのが手間で撤退、残存者利益を得ることに。最近の傾向では、魚の資源管理が重要になっており、稚魚を避け成魚を捕るために魚群探知機が活用されている。2020年1月からSOx規制が導入され、需要が増えている。


最近、漁師が儲かるようになってきている。ルールの厳格化、大型化、ノルウェー型漁業管理などの影響による。

船舶の自動運転についても意欲的とのこと。以前、WNIのIR担当に自動運転の可能性を聞いたんだが、船舶を安全に運行するサービスには意欲的だが自動運転ともなると船舶事故による責任が大きすぎて積極的にはなれない、とのこと。


長大[9624]


建設コンサルタント。橋に強み。競合は日本工営[1954]。今回初出展。

建設の調査、設計が中心で施工管理も行うことがある。コンサル中心なので社員数は少なめで済む。官公庁が9割、橋で有名だが実情は5割弱の売上。PFI/PPPは今後の課題、民間からの受注を増やしたい。M&Aは国内、海外ともに視野に。2割程度の海外売上を伸ばしたい。

資料を取り忘れてたんだけど当日の資料がPDFでダウンロードできるようになっていた。こいう仕組みはいいね。


IR担当の方が、投資会社からの転職らしく、将来性について細かい話が聞けた。M&Aは本格的に進むかもしれない。今後もIR活動は続けてほしい。


キューブシステム[2335]


ソフトウェア下請け。

1Q決算は外注費の増加による一時的なもの。今期入社50名、全体766名なので自然減を考えるとやや売上成長に疑問が残る。離職率は9%程度とこの業界では優秀な方なのだが伊藤忠テクノソリューションズ[4739]の離職率が4%台なことを教えたら驚いていた。そりゃそうだ。

この企業の課題は利益率の向上とみているのだが、ここ数年みてる限り、諦めたのかもしれん。すっぱり諦めてソフトウェア下請けに徹する方が安定するとは思うんだがね。


ナブテスコ[6268]


産業用ロボット用減速機強い。精密部品で世界シェア高い製品が多い。ハーモニック・ドライブ・システムズ[6324]の親会社。

FA、工作機械の需要減速で今期の利益厳しい。利益率が低い理由を聞いたが、製品ポートフォリオでの自動ドア(国内シェア50%)の部品の利益率が低い影響。自動ドアはメンテナンスサービス込みで展開中。配当方針は安定した配当を目指しているがDOEを採用するつもりはない。製造業だとDOEの採用は嫌だよねえ。

子会社のハーモニックと減速機で競合しないのか聞いたが、ハーモニックは小型、ナブテスコは中型以上と棲み分けを徹底している。ハーモニックは小型なので半導体製造装置の需給に影響されやすい。

今後の成長性は、航空機部品と減速機。航空機部品は安定した需要らしいが減速機は需給が読みにくい。


森六ホールディングス[4249]


化学製品と自動車部品。自動車部品はホンダ向け9割。海外売上6割。

中国でホンダに独占して部品供給していたが、ホンダからの要望で中国メーカーがセカンダリーになり減産余儀なくされた。ローカルメーカーが開発しにくい部品を開発していきたい。原料費の影響大きい。

中国のNEV規制が変わり報奨金が半減し、出荷台数減る。ハイブリッド車が対象になったのはメリットだがどの程度の影響になるかは見えていない。これからの状況。


上場した理由は人材確保のため。

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