2019年6月6日木曜日

2337 いちごの経営者から学ぶ機関投資家対策 (19.06.06)

銘柄ミニメモまとめ

いちご[2337]の株主総会で経営者のスコット・キャロンさんが「増収増益増配を続けているのに市場から評価されていないのは問題と考えている、対策したい」と言っていたので「長期保有する機関投資家が少ないからではないか。今後、どのような対策を考えているのか聞かせていただきたい。」と聞いてみた。

他にも思い当たる銘柄があり、参考に聞いてみたいと思って聞いたのよね。いちごならどうするのだろうって。もちろん、そのアイディアは他でも共有させてもらうからね =)。

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「残念ながら機関投資家は短期目線で投資することが多くなった。個人投資家には問題はない。まずはじめに行わなければならないのは機関投資家との対話。IRというのは云わば『営業』である。顧客が何を必要としているのか真摯に聞く必要がある。」

少し考えて、難しい顔で答えたのが印象的だった。株主総会後の会社説明会なので言葉を選ぶ必要はないのですが問題の難しさなのかもしれません。

対策は3つ。


自社株買い


機関投資家がまず求めるのは自社株買いなんだそうな。かなり需要が高い。

いちごという企業は収益を望むのではなく成長株でありたいという考え方からすると、成長の原資である資金を自社株買いに使うことを望まれているというのは皮肉を感じました。仕方ないのかもしれませんけどね。


ESGのアピール強化


機関投資家は、事業の成長と共に社会への貢献を求めているんだそうな。今期の決算説明資料ではESGに関するページを5ページ割いてます。


長期目線の機関投資家に保有してもらうには必要な情報だったんですね。

正直、意外でした。当たり前のように実施していることなので記載するまでもない情報が重要なのでしょう。日本人の感覚からすると善意のアピールって『粋』ではない感じがするのですが、それは外国人投資家には伝わらないということです。

企業価値向上のためにガンガン、アピールしていきましょう!


持続性・成長性・EPS成長


いちごは不動産セクターに位置する事業で、一般的にはシクリカル(景気敏感株)に思われがちだが、ストック型のビジネスを多く所有していることを評価してもらうようアピールしたいとのこと。持続性が疑われていると感じているようです。

リーマン・ショック時には多くの新興不動産銘柄が倒産しましたのでその記憶はまだ払拭できていないと思われます。とはいえ多くの不動産業者は、リーマン・ショックを乗り越えた実績を持っており、次のショックの準備を怠っていない企業ばかりです。私は不動産セクター自体の問題よりも、不動産セクターと結びつきが強い金融セクターが未だに脆弱なのが評価を落としている原因と思ってます。

現状ではやはり持続性のアピールが重要かと思われます。

例えば、不景気に突入しても一定の収入(ストック型ビジネス、メンテナンス事業等)があり、金融からの支援(コミットメントライン契約、シンジケートローン)の用意があることをアピールしてみてはどうでしょうか。

2 件のコメント:

  1. こんにちは。
    ESGのアピール強化って自分もわざわざアピールするような事では無い。
    って思ってたんですが、ただ、言わないから伝わってない。って事なんですね。
    自分も説明会等で質問・意見を言ってみようと思います。

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    1. そうですよね。ESGと言っても多くの企業では何らかの活動や支援をしているのが当たり前で、特に社歴の長い企業ならやってない方が少ないでしょう。とはいえ日本株を保有しているのも値付けを積極的に行ってるのも外国人投資家ですので、彼らを意識した資料作りは重要なんだと思います。英語の資料も必要になってくるんでしょう。

      まずは機関投資家が何を望んでいるのかを聞き出す「営業」が必要なんだと思います。業績向上以外にも経営者に仕事はあるんだということは伝えないといかんと感じています。

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