2019年6月2日日曜日

譲渡制限付株式報酬のすゝめ (19.06.02)

銘柄ミニメモまとめ

株主質問だって意味はあるんだよって話 (19.04.24)で取り上げた話なんだけど、改めて譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック、Restricted Stock、RS)のメリットを纏めてみたい。

なお当方、会計の知識に乏しい個人投資家なので間違ってることを言ってる場合も多々あろうかと思うので、コメントで優しくフォローしていただけるとありがたい。

譲渡制限付株式報酬って何?


役員報酬制度の一つです。金銭で得られる報酬の一部を一定期間の制限付きで株券と交換できる仕組みになります。

投資家目線でのメリットは以下の通り。

  • 明朗会計 =)
    株券が絡む役員報酬にはストック・オプション(SO)という制度があるのですが、発行時に謎の計算式にて価格が設定され、適正な価格かどうかは投資家に分かりにくい点があろうかと思います。譲渡制限付株式の場合、交付時の市場価格(株価)で行われるため、分かりやすい価格になります。
    分かりやすい故に運用コストもリーズナブルになります。
  • 保有株数の即時反映
    役員の株式保有数の少なさが問題に挙げられることがあります。これはインサイダーの問題もあって自由に自社の株式売買が出来ないことに起因しています。役員持株会やストック・オプションを通じて株式を間接的に保有していたとしても、実際に株券を手にするのは数年~十数年後でして表面化するのには時間がかかります。
    譲渡制限付株式(事前交付型)の場合、毎期交付されそれが自らの保有数として表記されます。議決権配当の権利も得られます。より一層、株主に近い立場で保有することができるメリットは高いと思っています。
    しかも株式売却はかなり後で、任期中は売却できない制限が加わります。
  • 売り逃げの防止
    ストック・オプションの場合、条件が整えば株券を売却することができます。インナーの人ですので安く買って高く売りたいのが心情でしょうから、何らかの出来心が生じてしまうこともあろうかと思いますし、そう見られているのも不本意でしょう。
    譲渡制限付株式の多くは、任期中の株式売却は認められていません。インサイダーという立場を利用することができない点はメリットと言えましょう。

経営者目線でのメリットは以下の通り。

  • 運用コストが安い!
    これに尽きるようです。
    ストック・オプションの場合、価格算定や口座維持の費用が馬鹿になりません。小学のストック・オプションですと手数料のほうが大きくなり採用するメリットが少ないと聞きます。株式交付信託(持株会)の場合も同様で、口座維持費が無視できません。
    譲渡制限株式の場合、運用コストはほとんど掛かりません。証券会社が絡む余地がなく、ボッタクれないんですね。
  • 損金算入が可能
    税制面でお得になります。

6409 キトーに譲渡制限株式を勧めた理由



一つに、現時点で自社株を多く保有しており、自社株の活用法に倦ねいているのが見えたからです。

以下は直近のコーポレート・ガバナンス報告書より。



25%近くを自社株で占めています。こうなったのは色々やむを得ない事情があるのですが、それは置いといて。

現時点での株価はかなり低く(ボキュはそう思ってます)、株券を利用してM&Aを行うのはもったいない状況にあります。さりとて株券を握ったまま有効活用できていない状況もよく思っていないはずで、何らかの有効活用を模索しているのではないかとみました。このダブついている株券の使いみちとして譲渡制限株式を活用できないかと思い、提案してみました。

もう一つ、ストック・オプションの代替です。

キトーの役員報酬って総勢でも1億円ちょっとなんですよ。随分少ない代わりの補填としてか毎年、こまめにストック・オプションを発行していたんです。が、ストック・オプションの維持コストは割と馬鹿にならないという話を他の株主総会でも複数聞いており、それなら譲渡制限株式の方が向いていると感じました。

今の所、収益は安定しているので損金としての節税効果を期待しています。


ということで


自社株買いを弄ばしており、収益が安定している企業にはうってつけの制度かと思ってます。役員の保有株数が毎年増えるの、いいじゃないですか。

他にもパフォーマンス・シェア(業績連動型株式報酬)も流行りですが、業績判定で明朗会計から外れるのと株券の取得判定がパフォーマンス判定の後になってしまうことより、すぐに株券が増えない点でビミョーな気持ちにはなりますが、賛成はしています。


新しい株式報酬制度 - 清和監査法人 (PDF)より


参考資料




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