2012年8月24日金曜日

'12/07の「担当ファンドマネージャーの見方」

大和住銀日本小型株ファンドの月次。7月は5970 ジーテクト

【担当ファンドマネジャーの見方】

<ある震災復興の物語>
 東日本大震災は日本の産業界にも様々な形で打撃を与えましたが、関係者の尽力により、それらの多くは予想より短い期間で回復に至りました。そういった復旧・復興活動の成功例として、今回はジーテクト(5970)を紹介します。
 同社はホンダ系のプレス加工部品メーカーで、系列部品会社の体力強化を求めるホンダの戦略に添う形で、昨年4月にジャスダック上場の菊池プレス工業と非上場の高尾金属工業というオーナー企業2社の合併により発足しました。当時、発足直前に発生した大震災により、部品・材料のどれ一つが欠けても生産が不可能になる自動車メーカーにとって調達が大きな課題となっていました。中でも、被災した半導体工場への依存度が高かったホンダは最も厳しい状況にありました。
 その他の部品メーカーの関係もあり、ホンダは一時的に一部車種の生産を埼玉県の狭山工場から三重県の鈴鹿工場に移管しました。従来は、菊池プレスが関東に工場を展開する一方、高尾金属は鈴鹿に近い滋賀県に主力工場を置き、納入工場別に住み分ける形を取っていましたが、輸送費軽減・納期短縮のため、同社は旧菊池プレスの工場から滋賀へ当該車種の部品生産を移管することを決定しました。プレス部品の生産には紙の上では伝わらない微妙な要素が多く関係していますが、旧菊池プレス側の技術者が滋賀に泊まりこみ情報交換を進めたことで、移管は円滑に進みました。さらに、震災直後の危機感もプラスに作用し、もともと高かった両社の技術力がより高いレベルで融合するきっかけにもなりました。
 日本の製造業は全般に厳しい状況に立っていますが、目標が明確化されたときの社員の団結力・解決力という面では依然として世界の上位にあると考えています。震災は不幸な出来事でしたが、目標の明確化という面では、同社に飛躍の機会をもたらしたと言えるかもしれません。

5970 ジーテクトは上記の文章の通り、ホンダ系列の自動車部品メーカーです。非上場の高尾金属工業との合併で巨額の負ののれん資産を計上し、見かけ上の利益を積み上げた記憶が残ってます。今後も親会社の生き残り戦略で右往左往する下請けという構造は多く見られるでしょうね。

で株価としては、正直、自動車部品産業全般がかなり安い傾向にあり、ジーテクトだけが評価されると言うほどの魅力は少ない、というのが私の感想です。

所謂、シクリカル銘柄ですな。ホンダ系の自動車部品銘柄を挙げてみる。


で、ジーテクトはPER 5.22、PBR 0.77。どこも同じような評価ですね。

系列会社は、親会社優先で資本の評価についてはあまり興味がないのかもしれません。また頭一歩抜け出す努力も、親会社が優先的に持っていってしまい、他の資本家を喜ばすことまで考えていないのかもしれません。系列会社で自社株買いなんて、あまりありませんよね。

同じ割安という点ならなら経営の自由度という点で、独立系の自動車部品銘柄の方が面白いかも知れません(ポジショントーク)。

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