2018年1月28日日曜日

7813 プラッツ - '17/12の「担当ファンドマネージャーの見方」

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7813 プラッツ


プラッツは、介護用ベットを製造・販売を行う企業です。'15/03上場。四季報の同業他社にパラマウントベッドHD[7817]フランスベッドHD[7840]

<低価格は正義>

社会保障費の増加が社会問題となる中、医療・介護に関わるさまざまな分野で価格低下圧力が強まっています。これらの領域で事業を行っている企業にとって大きなリスク要因ですが、すべての事業者にとってマイナスに働くとは限りません。この状況をプラスに変え得る企業として挙げられるのがプラッツ(7813)です。

同社はもともと病院向けのガス供給業者でしたが、1997年に価格が高止まりしていた介護用電動ベッドに10万円を切る低価格で参入しました。介護保険施行後も低価格を貫き、在宅向けレンタル市場では約30%のシェアを獲得しました。製造コスト低減のため、2010年には量産をすべてベトナム工場に移管しています。

介護保険はレンタルに関して自由価格制を採用しており、自己負担率も一部の高所得者を除くと10%のため、レンタル料金・ベッド価格とも高価格が維持されてきました。しかし、近年は財政当局などからの風当たりが強まっています。軽度要介護者に対する保険適用除外は利用者などの反対で見送られましたが、代わる支出抑制策として保険適用価格の上限制が導入されました。おそらく今後は自己負担率の引き上げも徐々に進むことが予想されます。こういった状況が進めば、自己負担率の引き上げ対象となった利用者はレンタル料金に今までより厳しい目を向けるでしょうし、レンタル会社も利益確保のためベッド価格の引き下げを志向するでしょう。同社とトップ企業の間には大きな価格差が存在するため、シェア変動の可能性は高いと言えます。長期的に一定以上の質の社会保障を維持するために、広い分野でコスト低減圧力を働かせることは正しいと当ファンドでは考えています。

ここ数年、社会保障費削減の一環として介護リースの補助金削減がやり玉に上がることが多くなっている背景があります。

今日の雑談 (8/31)で取り上げています。この話を聞くと皆一同に「介護補助機への費用削減は最終的に経費増になることが分かっていない」と言います。例えば「歩行補助を利用している人がコスト高を理由に器具を使わなくなってしまったら歩く機会が減って運動しなくなりすぐに寝たきりですよ?そうなると結局社会保障費が跳ね上がることが分かっていない。しかもこの費用は全体のほんの一部で削減効果は殆どないのに、、、」という話をされてました。

今回の予算案では、介護リースの全額自己負担は見送られたようですが、上限が設けられたようです。

また、平成30年度に予定されている介護保険の制度改正については、平成28年12月22日の閣議決定により、福祉用具の貸与価格における上限設定のみが導入となり、全額自己負担は見送りとなることが決定されております(出所:財務省HP「平成29年政府予算」)。これを受けて福祉用具流通市場(レンタル卸業者、福祉用具貸与事業者)での需要低迷は一段落し、年明けから復調の兆しが見られました。
-- 「㈱プラッツ(7813)平成29年6月期 決算短信」より

この政策は、介護機器の高騰を抑える効果があるようで一定の評価がある一方で、毎年上限が切り下げられると経営が不安定になったり、付加価値の高い製品を開発するインセンティブが削られる懸念があるようです。


プラッツには追い風でしょう。

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一方で、2018年度の介護報酬改定ですが、全体としては+0.54%のプラスとなる見込み。


介護事業は補助金に依存している中小企業が多く、介護報酬が減額されると過剰な設備投資でうっかり倒産してしまうところが多いんですね。経営者の質の問題なのですが、参入障壁が低く、過当競争になりやすいんです。補助金目当てに過剰投資した挙句、補助金削減で首が回らなくなるなんて話、よくありますからね。

今回の改定ではプラスした事業もありますが、削減している事業も多く、施設・在宅サービス全体としては負担増になる見込みのようです。

さらに、今回の改定では特別養護老人ホームで医療体制を充実させ、病院ではなく施設の中で高齢者のみとりを行った場合にも報酬が加算されることになりました。
-- 介護報酬改定 自立支援など実施事業者に重点的に加算 | NHKニュース

この報酬は老人ホームのベット増が期待できるかもしれません。プラッツには追い風なのかな。

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この銘柄は介護報酬を軸とする福祉施設の設備投資意欲と為替(円高有利)が利益を動かします。為替ヘッジが利益に大きく影響することが多いのでこの点は注意が必要かと思われます。

嫌いではないんですけどねええ。


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