2015年7月25日土曜日

6637 寺崎電気産業 - '15/06の「担当ファンドマネージャーの見方」

大和住銀日本小型株ファンドまとめページ

6637 寺崎電気産業


寺崎電気産業は、船舶の配電設備を製造する企業です。四季報の同業他社に6617 東光高岳6643 戸上電機製作所6994 指月電機製作所

<逆境の中で収益体質を強化>
安倍政権の発足以降、円安によって多くのメーカーが利益率を回復させています。現在の円相場は製造業の競争力だけで見れば過小評価と考えられるため、為替反転による利益率の悪化リスクも頭の片隅には入れておかなければいけません。しかし、外部環境の変化だけでなく内部努力によっても収益性を改善させた企業に関しては、高い評価をすべきだと考えています。その意味で注目される企業が寺崎電気産業(6637)です。
同社は船舶用の配電盤を得意とする重電メーカーで、国内の造船所だけでなく、海外の造船所や船主・海運会社にも高く評価されています。2007年の上場当時は中国の造船ブームに乗り、6%台の営業利益率を上げていました。しかし、その後はリーマン・ショックと円高の二重苦により、収益環境が急速に悪化しました。
同社は収益環境の悪化に対し、単なる費用削減だけでなく、陸上機器とサービス事業の強化で対応しました。太陽光発電の買取り制度開始という幸運はありましたが、それ以外にも鉄道・データセンター等のニッチ分野に向けた研究開発が奏功し、現時点での売上高は陸上機器が船舶用を上回るようになっています。また、船舶用では世界各地の修繕ドックに対するメンテナンス供給体制を強化し、新造船向けよりも安定的かつ高収益な事業を伸ばしています。
これらの内部努力により、同社は最悪期の2012年度でも2%台の営業利益率を確保し、円安に恵まれた前期の利益率は7%台と造船ブームの頃を上回っています。国内造船所や他の舶用機器メーカーと比較しても立派な数字と言えるでしょう。同社は今期も保守的な為替前提、太陽光発電向けの頭打ち、高収益なLNG(液化天然ガス)船向けの端境期と言ったマイナス要因を織り込みながら最高益更新を予想しています。

苦瓜さんが好みそうな低PER、低PBR銘柄ですね =)。

7/24現在、株価1318円、予想PER7.53倍、PBR0.64倍。財務リッチな銘柄でPBR1倍割れというのは実に美味しい。まずは財務を見てみましょう。

いつものB/Sの確認。GMOクリック証券の財務分析より。


現金と有利子負債を比べると相殺しても現金のほうが余りそうですね。実質無借金経営といって問題はなないでしょう。

前期は、売掛金が積み上がっているのが若干気になります。GMOの自動コメントの方でも、運転資本回転率を疑ってきています。納品したモノによって回収時期が遅れるということは製造業では結構あるのですが、売却先が怪しいところだと焦げ付きますし、回転売買真っ最中だったらそりゃあんた粉飾でっせということになるわけでして、資金の回収は出来るだけ早ければ早いほど良いんですわ。

株主資本の伸びは大したものです。借金を減らして株主資本を厚めにしているのが読み取れますが、ROEからすると悪化しますよね。2015年は太り過ぎた感はあるので、売掛金が回収できたあたりで自社株買いしてもいいんじゃないですかね。

---

決算説明会の資料より。


造船は、国内以外だと、韓国・中国が大きいでしょうか。寺崎の地域別売上は、アジアが3割、欧州が1割、日本が5割。アジア方面はやや怖いですね。

想定為替レートは、ドル円115円、ユーロ円120円とかなりコンサバに見ている様子。アジアの造船は多分、ドルベースでしょうね。

---

かなり安定した経営を目指しているようです。FCFも悪くない。直近の受注状況も大体前年並。

株価の低迷は、造船というかなり重いセクターで、7003 三井造船やら6023 ダイハツディーゼルあたりの株価をみるとやはり他のセクターよりはディスカウントされている感じです。一方で、船舶以外でのセクターの伸びが著しく、この辺りを織り込んでいないとするなら今の株価はどうなんだろうな、とは感じるところでしょうか。

面白いとは思うのですが、配当性向が10%もない時点で既存株主に対してガン無視であることは否めない訳でして、そうなると万年バリュー銘柄になりがちになりますよね。

ビミョー。

  • http://www.daiwasbi.co.jp/products/search/fund/pdf/20150630_kogataSB37M.pdf

0 件のコメント:

コメントを投稿