茶番
「富士ピー・エス【1848】、10-12月期(3Q)経常は88%減益なんですけど酷いタイトルなんです><」
「なんてサイト見てんだよ、決算短信は確認したんかい?」
「見てみたんですが何が88%減益が分かんないんです」
「どれどれ、、、ああ、これは嘘は付いていないが投資情報としてはクソってパティーンやな。ビジネスモデルすら理解しようとしない進捗率投資の弊害やでこれは」
「なんなんです?それ」
記事のカラクリ
まず88%減益()のカラクリを説明しよう。富士PSの2Q決算と3Q決算の経常利益(経常)を抜き出してみよう。
2018.2Q決算
2018.3Q決算
次に2Qから3Qまでの経常を計算しよう。
- 2018年:32 (=719-687)
- 2017年:300 (=240-(-60))
- 前年度3Q比:-89% (= 32÷300-1)
つまり88%減益というのは去年の10-12月期の比較だったんよ。確かに間違いではない。
土木・建設業の攻略法
「じゃあやっぱり駄目なんですね、、、(´・ω・`)」
「なんでそうなるんだよ!」
4Qに利益が集中する業界
官公庁相手がメインである土木や建設業の会計ではよくあるのですが、3月期に売上が集中する慣行があります。これは官公庁の決算期が3月の年度末であることが起因しています。
なのでこの業界は、1Q~3Qの売上より4Qの売上の方が大きいことはよくあります。
では、1Q~3Qの間は何もしないのかと言ったらそうでもなく、その間もちゃんと工事を行っています。売上は4Qになるけれども、工事するための原料費や人件費はその都度、計上されることになります。となると、1Q~3Qは、4Qのための費用だけが計上されることになりがちでして、売上状況にあっては会計上は赤字になったりします。
これは昔から問題視はされているのですが、なかなか改善されません。困ったものです。
これは昔から問題視はされているのですが、なかなか改善されません。困ったものです。
工事進行基準と工事完成基準
これでは正しい状況を伝えていない、ということで会計では工事進行基準を採用することを推奨しています。
工事進行基準は、売上としては成立していないものの、例えば工事の5割が完成しているのなら売上の5割を計上してもいいよ、という会計規則です。対して工事完成基準は、文字通り売上が成立するまで売上とはしない会計規則になります。
工事進行基準を採用する企業が多くなる一方で、不正会計の温床になりやすいので注意が必要です。最近の例ですと東芝の不正会計でしょうか。経営者が売上として認めてしまうとその内情に係わらず売上になってしまうのです。
とはいえ工事完成基準で事業を行う企業も未だ多いです。そうでなければ4Qに売上が集中するわけもないですからね。まあ4Q決算時に色々操作がしたいのは企業も個人事業主でも同じなんですよ =)
1Q~3Qの間は「受注高」を確認しよう
受注高は、売上の予約のようなものです。受注により工事が始まり、工事が終われば売上として計上します。謂わば「プレ売上」になります。
富士PSの3Q決算より
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、受注高は17,479百万円(前年同四半期比23.0% 増)、売上高は20,506百万円(前年同四半期比33.3%増)となりました。
業種にもよりますが受注高23%増は相当状況は良いと言えるでしょう。受注を多く貰うとその分、更に費用が必要になります。今回3Qで利益が出ない理由かもしれません。
当建設業界におきましては、公共インフラ老朽化対策、震災復興関連事業、東京オリンピック・パラリンピック 関連事業など公共事業が順調に推移するとともに、民間建設投資も耐震補強事業やマンション事業を中心に市場の 成長基調が継続しました。その一方で、人手不足や労務費の高騰など、工程の確保や工事の採算性に影響する要因 も存在しておりますが、改正品確法(公共工事の品質確保の促進に関する法律)に基づく労務単価や諸経費率の見 直し策によって、徐々に改善の兆しがみられています。
ちょっと面白いなと思ったのは改正品確法についての記載です。
暗に「政府の規制のお陰で買い叩かれなくなったで!やったで!!」とも読めます。
まとめ
「じゃあやっぱりいい決算だったんですね! (^^♪」
「なんでそうなるんだよ!!」
同じく富士PSの3Q決算より
特に、高速道路会社(NEXCO)の大規模更新事業や、地方自治体発注工事へ積極的に受注活動を展開しました。売上高及び利益につきましては、NEXCOを中心とした前期からの繰越工事を順調に進捗させるとともに、徹底した原価低減及び設計変更 に係る契約変更協議を強化しました。
今日の雑談 (11/05)で少し触れたのですが、官公庁は民間と比べると粗利率が低い傾向にあります。決算短信で原価低減に言及しているのは、粗利率を上げる努力をしたということなんでしょう。
で、その努力は実るのかというヒントは有価証券報告書にあります。
以下は去年の富士PSの有価証券報告書より。
受注方法は、特命受注と入札(競争)があります。
入札は文字通り同業他社と戦わされ消耗戦になることが多いです。逆に特命受注は、入札を行わない直接受注を行う方式で入札より利益率が高くなる傾向があります。特に技術力のある企業は特命受注を受けることが多いようです。
富士PSは近年、土木工事で特命受注を多く勝ち取っているのが上記から分かります。粗利率の改善が期待できますね。
今回、特命受注が増えたのかどうか決算短信からは読み取れませんが、明らかにその努力をしているし、発注側の官公庁も法に則って買い叩かないよう配慮しているのが、うっすら見えます。
とはいえNEXCOとの交渉がどこまで上手く行ってるのかは4Q決算を見てみないことにははっきりは分からないです。NEXCOとは今後20年間、長い付き合いになるので頑張って交渉してもらいたいところでしょう。
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「はっはっは、決算を読むとはこいうことを言うのだよ(ドヤ顔」
「さっぱりわかりません><」
「ちきしょうちきしょう(TдT)」
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