2014年8月20日水曜日

6670 MCJ - '14/07の「担当ファンドマネージャーの見方」

大和住銀日本小型株ファンドの月次。7月は6670 MCJ

<まだまだ魅力のあるパソコン市場>
パソコンが成長商品としての輝きを失ってからもう10年以上になるでしょうか。32ビットOSの定着以降は多くの利用者が現状を上回る性能を欲しなくなったことや、競合する携帯電話の機能向上により、マニア向け製品や一部のブランド品を除くと価格競争が激しく販売台数も伸びない商品になってしまいました。「VAIO」で一世を風靡したソニーも今年撤退するなど、固定費の高い大企業にとっては事業としての維持すら困難になっています。しかし、成長が止まったとは言っても国内だけで年間約1,500万台に及ぶ大きな市場であり、やり方次第では十分に魅力的と言えます。こういった環境で一定の成功を収めている企業がMCJ(6670)です。
同社グループの中核は、インターネットによる受注生産と量販店などに対するプライベートブランド製品の供給を主力事業とするマウスコンピューターです。国内での台数シェアは数%に過ぎませんが、2004年の上場後に部品商社のテックウインドや自作向け部品に強い小売店のツートップなどを買収・再編でグループ化し、高い調達力を獲得しました。また、ドイツで高いブランド力を有するモニターメーカーのイーヤマも傘下に収めています。
マウスコンピューターはもともと個人のマニア層に対しては一定のブランド力を持っていましたが、近年ではOA商社などを通じた法人向け販売を強化しています。大企業製品に比べ若干割安なことや機能組み合わせの自由度が高いことが支持され、徐々に存在感を高めてきました。そのことが今年4月のウィンドウズXPサポート終了に伴う買い替え特需と重なり、この4-6月期は前年の3倍以上に相当する連結営業利益を上げました。
現在は買い替え特需が一巡しているため、7-9月期は前年並み、下半期は逆に減益と予想しますが、それでも会社予想は上回る公算が高いと判断しています。株価は業界の衰退イメージから会社予想PER(株価収益率)でも約5倍に放置されていますが、再評価の余地はあると考えます。極論を言えば、パソコンもファンヒーターや扇風機のように固定費の重い大企業が撤退し、小回りの利く専門企業がシェアを伸ばす流れになっているのではないでしょうか。

元々、MCJは自作パソコンの製造・販売が主力です。

顧客の要望に応じたパソコンを組み立てて販売するというBTOというスタイルで事業を拡大しています。参入障壁はかなり低く、ある程度の在庫を持てる資本があれば、新興宗教の集まりでも出来る簡単なお仕事です。彼ら、人件費実質0円なんであれを商売にされるととても厳しいのですが、それは置いてきましょう =)。

Windows Vistaあたりかあら事業の行き詰まり感が出始めます。HDDの販売商社や倒産気味のイイヤマ(ディスプレイ製造販売)を買収していきます。

アキバでも事業縮小傾向が強くなった時期でして、輸入スマホやメイド喫茶にスイッチする事が多くなりました。アキバの特徴として最新のニッチ需要をキャッチアップする傾向が強いので、これも時代の流れなんでしょう。アキバのパソコン屋さんもかなり倒産をしていまして、この流れで老舗のTWO-TOP、パソコン工房、Faith等、次々と救済買収をしていきました。ブランドは残ってますが仕入は統一されており、過度な価格競争に歯止めがかかっています。

特徴として雑なM&Aというのもあります。例えば、一時期MP3プレイヤーの一角を占めていたiRiverや出版社の秀和システムという企業もM&Aを行って傘下に収めています。いずれも財務が厳しくなった時期にたたき売りしていたのを拾った形です。

救済買収がビジネスの一環にあるのかもしれませんね =)

後、村上ファンドの残党が作ったレノという私募ファンドに絡まれた事で有名になってますね。話題が尽きない銘柄ではありますな =)。


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PERで判断するのなら、事業収益の継続性が重要になります。一時の収益が良くてもそれが長続きしないようなら見た目のPERをディスカウントする必要があるでしょう。

MCJの場合、上期の丁度いい時期にWindows XP買い換え特需が起こり、思いの外、需要があったのが幸いして今期の業績を伸ばしています。この収益に継続性があるか?と言われると疑問が多いですね。

個人客ですと、Surface Proのようなブランド品を好む傾向にありますし、ビジネス客ですと同様のビジネスを行っているDellとぶち当たります。世界規模のBTOであるDellに勝てるとはとても思えません。PCパーツ販売ですと最近は家電量販店すらキャッチアップしてきているので競合は多いですね。

低PER以外の何かに期待するとなるとやっぱりレノですかね =)。

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ただ巨大なパソコン市場が急速に冷え込むことは考えにくく、いつまでも高くて使いにくいOfficeも継続して販売されることは確実でしょう。何より膨大なソフトウェア資産が積み上がってます。これらをすべて置き換える程、人類に人が余っていません。

この辺でリーチしそうなのはパソコン周辺機器メーカーである、6676 メルコHD6750 エレコム6916 アイ・オー・データ機器あたりでしょうか。半消耗品を取り扱っているのでかなり息が長いと考えています。

パソコン販売で言うと7618 ピーシーデポコーポレーションあたりが競合ですかね。この銘柄は販売よりもPCサポートのサービス事業を伸ばしており成長の大きな原動力となっています。野島(弟)という点も見逃せないですな。

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と言う事で、細く長く需要が望めるものの投資家を喜ばせる程の利益をたたき出せるのかというとビミョーと言わざるを得ないですね。企画・開発力に如何に注力出来るかにかかっていると思います。

最後に底辺ポエムなど。


この呪われたビジネスに皆様の慈悲を。

http://www.daiwasbi.co.jp/products/search/fund/pdf/20140731_kogataSB37M.pdf

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