2014年5月30日金曜日

レバレッジを適正に活用した人が最も得をするよう設計された社会 - 「30分で判る 経済の仕組み Ray Dalio」読書感想文

かなり為になる動画なんだがあまりにも話題に挙がっていないようなので取り上げてみる。読書感想文のタグでいいものか、若干悩むも増やすととりとめないしこれでよしとします =)





投資では大きなおカネの流れを理解する事が奥義でしょう。

少額の投資額なら日々のボラティリティの中からおカネをくすね取る方法が最適だが、投資額が大きくなる場合には、大きなマネーの流れに沿った運用が安定した利益をもたらすと思ってる。

面白い話なんだが、その手の大きなおカネの流れを最も機微に反応しているのが為替で、FXトレーダー達の扱っている情報って正にそれ。が、何せ彼らは短期トレードが主体なんでその情報を活かせていない感があってとてもアレだ。活かそうとしても日々のボラティリティと自らのレバレッジの奴隷になっている、というのが正確なところかもしれない。

この点では「僕言いましたよね」は至言であり、同時に残念感が半端無い。

世界最大級のヘッジファンド運用会社ブリッジウォーター・アソシエーツ(運用資産約1500億ドル)創業者のレイ・ダリオ氏はこのほど、経済のしくみを易しく説いた動画を日本語で制作し、ネットで公開を始めた。
--- 世界最大級のヘッジファンド創業者 日本語で経済入門動画 :日本経済新聞

この動画は投資家から見た経済で、経済学を元にした理解なので納得できる所が多いと思う。なんというか、ほのかにおカネが香りがするあたり、単なるお勉強動画ではない感じがとてもいいですね。

と言う事で、詳細は動画を見てもらいたいが、ちょいフォローしてみる。


貨幣経済


前提となる貨幣経済への移行と中央銀行の役割については「やる夫シリーズ」がオススメ。認識は間違っていないはずだ。教科書とか参考書は皆、やる夫シリーズ化したらいい。理解出来るなら手段なんて気にする必要は無いぞ。




この「おカネが縮んでいく」感覚がディレバレッジの話に繋がるんだが、レバレッジを活用していない多くの人達にとって不公平感が半端無く、目立つと社会問題になりやすい。レバレッジで社会が高揚している時は気にも掛けていないのにね。

生産性=GDP


ここで取り上げられている生産性とはGDPの事です。動画の縦軸を注意してみるとちゃんと「GROWTH (GDP)」と記載されています。個別銘柄の成長性とか殆ど関係していませんよ、念の為。

GDPを生産性として捉えるのは如何なものか、的な話がありましたが、山形さんがブッタ切ってる記事がオススメ。難しい話ではないし読み手を飽きさせないサービス感が好感が持てる。

よほどとんでもない環境にでも置かれない限り、だまってたって人はあれこれ工夫をするし成長しちゃうし、みんながそれをやったら、経済だって当然のように成長するしかないんだもの。それが起こらない、という状況のほうがきわめて不自然だからこそ、人は低成長を憂慮しなきゃいけないんだよ。経済成長を願うのは、人の成長能力を信じ、そしてその潜在力を思い切り発揮してくれることを願う、信頼と希望の表明でもある。
-- 経済成長は、ぼくたちの努力や成長の総和でしかない。 - 山形浩生 の「経済のトリセツ」

動画の「知識の蓄積が生活水準を引き上げ、生産高を引き上げます」というのは正にそれだ。このブログもその一端を担っていれば幸いなんだが =)

今の生活水準を維持できるとしても、生産性を否定するって難しいと思うんですよ。例えば、難病から助ける薬が開発されることだってやっぱり生産性の向上な訳です。自分が病気に罹ったとして、それら新薬を否定できるか、と言われれば難しいでしょ?スマホやタブレットによって様々なコンテンツ消費が可能になったのも生産性の向上のお蔭でしょう。これも否定します?

自分のポジションで生産性を語るのもどうかな、とは思うよ。


債務の周期


この動画の素晴らしい所は債務の周期を的確に指摘している所。この辺りは濁されるこが多く「長期的に見れば我々は皆死んでいる」的な皮肉も言われる程。



債務の短期の周期は5~8年位。


債務の長期の周期は75~100年位。

まあ人生の長さを考えると5~8年て短期周期とは感じられないよね。生まれた時期によって有利・不利が出るのは仕方ないところかもしれんね。


「人は債務を返済するよりか、借用額と支出を増やすを増やす傾向があるからです。これは人の知恵です」


言い切りやがったw

日本では借金を後世に残す悪癖だと指摘する人が多いですが、その人たちが高齢者になっても同じことを言えるかどうかはビミョーな所だと思ってます。これも人の知恵、なのかもしれませんが =)

人は短期的な周期しか見ない、と指摘がありますけど、100年を見据えた運用なんてフツーは考えませんよね。人生が終わってます。そんな周期で見る必要があるのは経済学者と行政と中央銀行だけで十分でしょう。

多くの人は相場の肥やしになるのが正しいのです =)


中央銀行と政府の役割



動画では指摘されていませんが中央銀行が操作できる金利は銀行間での取引による短期金利だけです。政府が発行する長期国債は、債券市場で取引され債券の利回りは投資家同士の売買によって決められます。

一方で、政府は直接紙幣を刷ることは出来ません。直接刷ることが出来るようになると、時の政権がその時々に都合よく刷ってしまい、投資家から警戒され、物価が操作できなくなり、政府が制御できないほどのインフレになるからです。

そのため、政府がおカネを刷りたいと考える場合、中央銀行との連携が不可欠となります。

この際、中央銀行は、政府の発行する債券を問答無用で買い付けます。債券を質に政府は紙幣を得ることになり、それを再分配します。

重要なのは

買えば価格が上がり、売れば価格が下がる

事です。

これは債券や株に限らず、セリで売買される資産の全てが当てはまります。

誰も買ってくれない、価値の下がった債券を中央銀行が問答無用でお買い上げしてくれるのですから、債券の価格は上昇し利回りは低くなります。債券を持っている最大顧客は銀行なので、この時に救われるのは銀行となります。

これでも景気が上向かない場合、中央銀行は問答無用で株を買い付けます。個別株を買うと不公平感半端無いので、一般的には株価指数に連動するETFを買い付けることになります。ここで救われるのは株を塩漬けにしている多くの年金や保険や資産家になります。

資産家が救われる、というのはこいう仕組みなんですな。


動画の纏め


  1. 所得より早く債務を増えさせない
    収入と支出のバランス重要。収入が少なければ借金の利子すら払えなくなり、いずれ首が回らなくなっちゃうよって話。これについては違和感を覚える人は少ないと思う。
  2. 所得を生産性より多く増えさせない
    ざっくり言うと賃金を気軽に増やすなって話。労働者側からすると腹立たしいことこの上ないんだが、生産性、というか利益を上回って賃金を支払えばいずれ首が回らなくなりますよね注意しましょうってこと。経営者がこのバランスを取る事になるんだが、生産性を上げるための教育コストをケチってしまったがため人材不足が今になって表面化するとか、多分今後大きな社会問題になってしかも短期的な解決策は無いという事になりそうな予感がします。
  3. 生産性を向上させるための努力を惜しんではいけない
    生産性の向上が全てを好転させます。誰も不幸にならない、全ての解になる訳なんですがナカナカ難しい問題ではあろうかと。明らかにカリスマ経営者待ちになっているものの、一時のカリスマに石を投げる傾向が強い状況でして、まあ全部不景気が人の心を支配しているんだなあ、とも。

最後に生産性と賃金の関係について。

賃金水準は、絶対的な生産性で決まるんじゃない。その社会の平均的な生産性で決まるんだ
-- 生産性の話の基礎 - 山形浩生 の「経済のトリセツ」

賃金を上げたければ各々が生産性を上げなければ駄目ですよって事。ホワイトカラーの生産性についてもよく指摘されるところではあるのですが、ホワイトカラーを増やし過ぎた気はします。あんま卑近な話を挟むのもアレか。


まあ、そんなとこ。

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