2014年10月22日水曜日

太陽電池関連への疑問 - '14/09の「担当ファンドマネージャーの見方」

大和住銀日本小型株ファンドの月次。9月は太陽電池関連銘柄への疑問について。

<私が太陽電池関連に投資しなかった理由> 
九州電力が太陽光発電所に関する接続申請の受理を停止したことがきっかけで、太陽電池関連銘柄の株価が急落しています。上場関連企業の大半は接続承認済案件の受注残を豊富に有しており、短期業績に関する影響は大きくない模様ですが、成長イメージの回復は困難でしょう。当ファンドはこの投資テーマについてはもともと懐疑的で、組入銘柄で太陽電池関連と言えるのは他にも成長事業を有している富士古河E&C(1775)、寺崎電気産業(6637)くらいであるため、あまり損害を受けずに済みました。今回は、なぜ当ファンドが太陽電池関連銘柄について懐疑的であったかをご説明します。 
第一の視点は、収益の源泉である固定価格買取制度が脆弱に感じられたことです。太陽光発電の進歩のため何らかの政策支援を行うこと自体は賛成ですが、あまりにも買取価格が高過ぎ、手続きが乱暴過ぎでした。その結果、実現性の疑わしい計画が乱造され、一部地域では将来的に電力の安定供給に対する懸念が発生し、電力利用者に転嫁される料金もかなりの金額に達する見込みである一方、エネルギー調達の多様化や二酸化炭素の排出抑制といった利点は小幅にとどまりました。先行したドイツでも急激に見直された政策を性急に導入した点は反省が必要でしょう。 
もう一つの視点は、現実に利益を得ている企業群にあまり本質的な優位性を感じられなかったことです。設置業者や卸売業者に関しては、単なる早い者勝ち以上の要素はまったく感じません。国内電池メーカーも一部のハイエンド製品を除くとコスト競争力は全くなく、実質的に輸入品の品質保証を行なっているに過ぎないケースが中心です。接続機器メーカー、架台メーカー、工事業者については一定の技術的優位は認められるものの、やっていることの割に儲け過ぎという感は否めませんでした。企業を投資対象として高く評価できるのは、その会社固有の強みが生かされ、かつ多過ぎも少な過ぎもせず、その強みに対してふさわしいと感じられるだけの利益を得ている場合だけと考えています。

今回は長期的な目線で太陽電池という産業に投資するべきなのかを語ってますね。

最初のはタリフ(Feed-in Tariff、FIT)制度の継続性の問題です。

自然エネルギー発電を推進するために、消費者が開発者にインセンティブを与える仕組みです。月々の電力費の中から数%割増で請求し、その分を開発者に割り当てる事でコストに似合っていない自然エネルギー発電への投資を促す目的で始まりました。自然エネルギー発電への設備投資が盛んになれば、設備投資へのコストが劇的に下がるはずで、この段階でタリフを徐々に減らしていく算段もあります。

が、この制度、消費者に滅法不評でして、日本版タリフが始まる時点で既にドイツをはじめとする欧州では終息していました。まあ欧州の場合、原発大国のフランスが近場に存在するんで、そこから買電すればいいだけのことですしね。最近、ようやく日本でも問題視されるようになり、九州電力の申請拒否を境に太陽電池銘柄の株価が大きく落ち込んでいます。

日本特有の問題として配電網が一方通行で設置許可が下りにくくなっているという状況もあるようです。電気の需要が無い所に発電ばかりしていても電気を捨てるしかない訳です。


一社独占による安価なインフラ整備が仇になった、という所でしょうか。東電の株主総会で配電網の設備を東電が責任をもって速やかにやれと提案していた人がいたっけ。フリーランチはではないので、回り巡って増税しろって話になるんでしょうか。凄い話です。

ざっくりとした計算ですが、タリフが続いたとして大よそ10年で設備投資が回収し、15~20年で利益を上げ20年で寿命を迎える投資になります。20年で投資額の倍になる計算でしょうか。ただし、随時点検は必要ですし、太陽電池のガラス表面を拭く手間は必要ですし、自然災害で故障する場合もありますので早々上手く行くものではないです。

何より、20年間設置し続けなければならないというのは投資としてどうなんだろう、とも。

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2番目は、参入障壁の低さでしょうか。

シリコンの原料である珪石は中国・オーストラリアに依存します。特に中国は太陽電池バブルが酷く、国家として珪石の輸出を制限してしまう事もあって、日本の製造業は優位に立つことは出来ませんでした。設備投資を促すことで儲かるのは中国あたりで、あまり日本には恩恵が少ないんです。珪石を使わない方法も検討されましたが、原料である希少金属はやっぱり中国依存で、しかも金属汚染等の問題もあります。

架台メーカーですと3440 日創プロニティが有名ですかね。架台を設置する事で税金が有利になるようで、実にビミョーな特需でした。


利益の持続性を鑑みるに、特需以上の有利性が見いだせなかった、と言う事なんでしょう。

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太陽電池に関してはソコソコ情報を回収していますので何かと活用できるかと。


結構、情報を持っているのはタリフ制度以前に太陽電池バブルが発生した時に、色々調べたんですよ。図書館にしか置いてなさそうな機関紙まで調べましたよ、ええ。でもまあその後、サブプライムローン問題などが表面化してからと言うもの、ダダ下がる一方で、当時は見ているしかなかったですね。

投資家の立ち回りとしては最悪ですなw

4043 トクヤマとか1500円台で握ってましたからね。結局500円で買い取ってもらいましたが、嫌な思いでですわ。他にも関連銘柄として目を付けていたSESの倒産とかもあって唯一、自分の投資法を変えた時期でした。

損する分には構わないんだが、倒産は自分の中で色々許せませんでしたね。投資先の企業を恨む訳ではなく、ただひたすら悲しいという。で、バリバリの資産バリュー投資に切り替えたという、それはそれでどうよって気もしますけどね。

まあいいや。この話はいずれ。


  • http://www.daiwasbi.co.jp/products/search/fund/pdf/20140930_kogataSB37M.pdf

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