1904 大成温調
<中堅建設会社でも海外展開>
設備工事業界は国内依存度の高い業界です。国内でビルの新築・改装が継続的に行われていること、海外進出は人員面や契約面のリスクが高いことから、自動車塗装ラインに強い大氣社(1979)を除く大手各社はほとんど内需に依存し、狭い世界の中でしばしば過当競争に陥る構造となっています。そういった業界の中で、準大手企業ながら積極的に海外展開を行っている企業が大成温調(1904)です。
同社は大手各社と異なり系列に属さず、独自の成長を続けてきました。海外展開にも古くから積極的で、1982年には中東での工事に参画しました。そして、1990年にはハワイの設備工事会社を買収し、現在では約300名の人員を擁する海外事業の中核企業に育て上げました。近年はアジア各国にも進出し、幹部候補を日本に受け入れて教育を行っています。
ハワイは米国人や中国人にも人気の高い保養地で、しばしば大規模な不動産開発が行われています。前期は富裕層向けの共同住宅を受注し、連結利益の4分の1以上を稼ぎ出しました。今期は物件の端境期となっていますが、今後も富裕層向け住宅の建設計画は目白押しであり、良好な受注環境が期待できます。国内も大手各社による過当競争が収まっており、今後数年間は高水準の業績を続けると予想しています。
折角なので再度、株価分析からみてみましょう。
相変わらずバリュー感溢れてますね。緑色の事業価値より水色の資産価値が多く評価されているのが特徴です。
B/Sを確認してみましょう。
B/Sを見るときは幅の大きい項目に注目するのがコツです。
- 相変わらず現金が多い
この銘柄の特徴なんでしょう。空調工事会社は同じようなB/Sであることが多いです。設備投資、研究開発費が少なく、資産を多く必要とすることなく、安定した横並びの業界によくあるパターンです。 - 固定資産が小さい
重機のような大きな設備投資が必要ない業界なのでしょう。減っていく一方なのは本業への積極性が問われるところでしょうか。 - 流動負債が大きい
これだけ現金を持っていて流動負債が大きいのは違和感があります。調べてみると「未成工事受入金」でした。これは云わば前受金のようなものでして、工事を行うにあたって前もって現金を貰っているがいずれ工事費に費やされる予定の費用が計上されています。なので「未成工事受入金」に似合うだけの現金を持っておくというのは納得がいく会計処理なのです。
前受金を貰えるビジネスというのは強いビジネスです。資金繰りに悩まずに済みます。
安定はしていますが成長性が難しいと感じました。均衡した成熟産業となると後は同業他社のM&Aくらいしかやることがないのですが、同業もおカネに困っていないので淘汰が進まない状況のようです。
続いてFCF。
プラスに推移してますがムラがあるようです。
2015年度の営業CFマイナスは売掛金の回収の遅れと棚卸資産の増加が原因のようです。これでもB/Sに影響が少ないんだからすごいものです。
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ここ二期続けて粗利が改善しているのは注目でしょう。PER面で魅力はありますが、万年バリュー株なのでこのままの株価ということは十分ありえるとは思います。
- IR情報 | 大成温調株式会社
IR本拠地。決算説明資料あり。
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