4242 タカギセイコー
<生き残りを賭けて>
プラスチック成形品業界は、顧客である完成品メーカーの業況にどうしても左右される業界です。特定の顧客の業界が衰退していく場合には、新たな顧客を伸ばさなくてはいけませんが、現代の日本では簡単なことではありません。その波を乗り越え、業容を拡大し続けている企業がタカギセイコー(4242)です。
同社はもともと富山県の漆器業者でしたが、戦時中にプラスチックへ転換し、戦後はまず紡績機の部品で成長を遂げました。1950年代後半には、当時日本の花形産業であった二輪車に参入しました。その後、タンクやカウルといった中空の大型部品で独自技術を磨き、この分野は現在でも主力部門の一つとなっています。
1980年代から1990年代にかけては、電機・精密業界向けが成長の主役となりました。1980年代はコピー機、プリンターの部品が拡大し、1990年代には三菱電機と富士通の携帯電話筐体が急成長しました。しかし、2007年の上場後、顧客の業界の低迷によって、まずOA機器向けが頭打ちとなり、続いて携帯電話向けが壊滅的な状況となりました。その影響で、2010年代前半の営業利益率は1%前後で低迷を続けました。
しかし、2010年代後半に入ると、営業利益率は4%前後に回復し、利益水準は一変しています。リストラ効果に加え、二輪車と同時期に参入した四輪車向けが、長い時間をかけて最大部門に成長しました。四輪車向けでは、やはりバンパーやリアスポイラーといった大型の外装部品に強みを持っています。また、建機の排ガス処理用尿素タンクや電力向けのスマートメーター筐体といった製品も、小粒ながら業績の下支え要因となっています。
現在最も市場で注目されている同社の新規分野は、米国ベンチャー企業向けの針なし注射器部品です。2018年11月に顧客の米国医療機器認証取得が伝えられた際には、株価は直前安値の3倍以上に高騰しました。しかし、現時点ではまだ一部医療機関での試験採用にとどまっており、普及に時間がかかることが明らかになったことから、株価はふたたび低迷しています。現在の株価水準は既存事業だけで十分に説明がつく水準であると判断しており、同事業については気長に見守りたいと考えています。
当面のカタリストは、針なし注射器ですかね。
- 針なし注射器で医療分野へ タカギセイコー(未来への挑戦) :日本経済新聞 (17.11.01)
結構前からの取り組みだったのですが、19/08のニュースをきっかけにえらく株価が伸びました。医療系ですので時間はかかるかと思いますが、いずれ収益に貢献することになればまた株価が動くかも知れません。
いつものB/Sの確認。GMOクリック証券の財務分析より。
特に成長意欲は高くないようにみえます。株主資本比率は20%を切っており、伸びもみられません。無配の頃もあることを考えると少なくとも昔の株主にとってはあまり優しくない感じはします。
FCFは常にプラスであることから安定経営を目指していることが分かります。逆に考えると設備投資意欲に欠けるようにもみえます。
- IR・投資家情報 – タカギセイコー
IR本拠地。決算説明資料あり。
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