5805 昭和電線HD
<緩やかな外圧による経営改革>
日本のメーカーが陥りがちな負けパターンとして、高い技術の蓄積を有するにもかかわらず、経営のメリハリが利いていないため、勝ち目のない分野に経営資源を投入し続けて体力を浪費するというものがあります。いわゆる「選択と集中」が必要なケースですが、企業内部の原理だけではなかなか改革には踏み切れません。そういった場合、何らかの外圧が加わることで良い結果に至ることがしばしばあります。今回取り上げる中堅電線メーカーの昭和電線ホールディングス(5805)は、極めて穏やかな形で、外圧による改革が進んでいる企業です。
電線業界は、電力、通信が二大顧客であるため、経営面ではどうしても保守的になりがちな業界です。大手メーカーは超高圧送電線や最先端光通信、自動車向け組み電線の世界的な供給網といった体力の必要な事業を主力に据えることができますが、中堅メーカーはニッチを開拓しない限り、差別化の困難な汎用品に頼らざるを得ず、低収益に甘んじることになります。かつては同社も、面白い事業をいくつか持っているにもかかわらず、全体的には目立たない企業でした。
同社の変化は、2011年に中国の大手電線メーカーが筆頭株主となったことがきっかけです。その後、数年間の改革は緩やかな不採算事業の縮小にとどまっていましたが、2017年には本社を主力工場に近い川崎に移転し、2018年には技術者出身の長谷川隆代氏を社長に登用しました。その後の外部から見た明らかな変化としては、決算説明会の内容が質量ともに大きく改善したことがあげられます。長谷川社長の説明も、常に自身の言葉で語っている感じで、私の頭にはとても入りやすいものでした。
同社の具体的な戦略製品は、変電所の分散電源対応や、電気自動車モーター用の高純度巻線、自動車シート用のヒーター線など、いずれも高い技術の蓄積が必要で、今後の需要拡大が期待できるものです。今後、一層の選択と集中により、これらの拡大を加速させることが期待されます。
バンク・オブ・チャイナ(HK)カストディって中国の大手電線メーカーなんですね。銀行経由で保有しているのかな。
役員の割当が分かりやすい。これいいね。
確かに電線メーカーにしてはIRが充実しています。ちなみに長谷川さんは女性です。
- IR情報 | SWCC 昭和電線ホールディングス株式会社
IR本拠地。決算説明資料、動画、中計あり。
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