<不動産の魔力にはまらないために>
不動産にはなにか魔力があるのでしょうか。不動産の開発・売買で成功した経営者の多くは、取扱物件や事業全体の規模を拡大し、より大きなリスクを取る方向に向かいます。斬新なビジネスモデルによりニッチ分野で成功した企業も、規模拡大のためにより市場規模の大きい既存分野に進出しがちです。その結果、市場全体が下落局面に転じると業績が悪化し、かつての成功もすべて無に帰す、というパターンをこれまで数多く見てきました。
しかし、中には自社の強みをしっかり把握し、無用なリスクを取らない企業も存在します。その代表例としてよく挙げられるのがスター・マイカ(3230)です。同社は「賃貸に供されているファミリー向けマンションを1戸単位で購入し入居者が退去後に自己居住希望者に売却する」というビジネスモデルを編み出し、十数年間ほぼそのモデルに徹することで、リーマン・ショックも黒字で乗り切りました。そして、最近上場した中で軸のぶれない企業として評価しているのがイーグランド(3294)です。
同社のビジネスモデルは競売物件に特化するというもので、スター・マイカほどの独自性はありませんが、現状確認や明渡請求などの手間のかかる事業を定型化して十数年間続けてきました。その結果、首都圏の落札シェアでは首位を継続、不動産市況の波により上下はするものの平均で17%の粗利率を確保し、スター・マイカ同様に黒字を続けてきました。「もっと楽に大金が稼げる事業へシフトする気は起きなかったのですか」という筆者の質問に対する「粗利率が17%あれば十分じゃないですか」という社長の回答は強く印象に残っています。
イーグランド社長はゼネコンの経理部門出身、スター・マイカの社長は投資銀行出身です。長期的視点から自社の事業を客観的に見られるためには、他業界での経験が役立つのかもしれません。
両社とも経営者が興味深い人ですね。
スター・マイカは、ビジネスモデルが素晴らしいですね。日本特有の不動産業の性格と、金融でいう裁定取引が融合した、絶妙なビジネスモデルです。複雑なビジネスなのですが、詳細については「なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編」を読めば理解していただけるかと思います。
私の推奨ポイントは、経営者の独特な魅力(ひふみアカデミーで教えてもらいました)、棚卸資産が腐らないどころか利回りが期待できる所、安価な時期に組み入れた棚卸資産に資産価値があること、優待が年2回貰えること、でしょうか。
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イーグランドは去年上場した企業です。ビジネスモデル自体に特色がある銘柄ではないのですが、経営者の昔ならではのイケイケ路線の人で、不動産業でありながらリーマンショックを乗り越えてきたやり手である点が魅力でしょうか。
私の推奨ポイントは、経営者の独特な魅力、9月末の株式3分割による流動性、年2回の優待、あたりでしょうか。
日経IRフェアに参加してきた時の走り書きがあるので参考にどうぞ。
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他業種の人から見ると、不動産業という規制された産業はいくらでも裁定する要素があるってことなのかもしれませんね。不動産に限らず、農業や漁業でもこのようなビジネスチャンスを掴む企業が出てくるともっと面白くなるかもしれません。儲けるチャンスはいくらでもあるってことかも =)。
日本経済新聞出版社 (2013-07-26)
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