2018年10月29日月曜日

5186 ニッタ、3104 富士紡HD、4368 扶桑化学工業 - ニッポン中小型株ファンド('18/09)

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<半導体関連銘柄に対する考え方2>

前回は、極端な強気論が後退し株価の調整した半導体関連銘柄の投資魅力が高まっているとお話ししました。ここ1ヵ月でも、大手半導体メーカーの投資先送りなどが報じられ、各社の株価は総じて弱含みとなっていますが、基本的な考え方はまったく変わっていません。7-9月期からはしばらく全体的に減益基調へ転じるでしょうが、当面の調整を織り込んでも、多くの企業がすでに割安な水準まで売り込まれたと判断しています。

当面の減益リスクを緩和する戦略としては、相対的に重要度が高まり続けている分野に投資することが有効だと考えています。前回は、フラッシュメモリーの三次元化で比重が高まっていることを主因に成膜工程関連の業種を取り上げましたが、あまりにも関連企業が多過ぎるため、個別の技術的ポイントや社名については省略せざるを得ませんでした。今回は、その中でCMP(研磨工程)について、少しだけ詳しくお話しします。

半導体の回路形成にCMPが用いられるようになったのは、1990年代の半ばからです。近年ではフラッシュメモリーなどにも用いられるようになってきましたが、市場を中心的に牽引してきたのは微細な回路を何十層にも積み上げるロジック半導体でした。上の層の回路を正確に形成するために、各層を形成するたびに精密なパッドと微粒子を均一に分散させた砥液で研磨するのです。どちらかというと地味な技術ですが、素材の物性にとことんまでこだわる必要があること、顧客の細かな要求に対してすり合わせを行う必要があることから、日本企業が強みを発揮しやすい分野といえるでしょう。投資先の関連企業は以下の通りです。

ニッタ(5186)…パッドの最大手であるダウ・ケミカルのパートナー。合弁企業を事業主体として、日系メーカー向けの供給を行うほか、不織布パッドなどは世界に提供している模様です。

富士紡ホールディングス(3104)…パッド業界二番手グループの一角。仕上げ用の軟質ウレタンに強みを持ち、台湾メーカーの銅配線向けなどでは中心となっている模様です。

扶桑化学工業(4368)…砥液用微粒子に用いられるコロイダルシリカのトップメーカー。粒子の形状を自在にコントロールする技術を有しており、半導体メーカーと次々世代まで共同開発を進めていると推測されます。

'18/10現在の相場観では、米国の半導体関連株の指数として有名なSOX指数を参照するといいかもしれません。数社上げると以下の通り。

  • Micron Technology
    メモリ製造の大手。メモリ価格下落により目下、株価下落中。
  • nVIDIA
    グラフィックスチップを開発。AI関連銘柄として取り上げられることが多い。株価は調整局面に。仮想通貨のマイニングとして売上を伸ばしたが、この反動が来ているのかもしれない。
  • ASML
    半導体製造装置大手。3Q決算が好感され株価上昇したものの全体の相場で押し下げることに。

詳しくはMarket Hackあたりを参考にしてください。

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スポットのメモリ価格は、DRAMeXchangeで確認できます。このサイトは台湾にあるメモリマーケットの価格を公開しています。

メモリの大半は、小口のスポットではなく大口のPCメーカーやスマホメーカーの予約によって製造が計画されています。予約と言っても半年から1年先まで計画されており、計画していたより多く余ってしまった場合(特に景気が悪くなったときが酷い)、スポットに流れることになります。この小さなスポット市場が結構な流動性を持つようになってからは、大手メーカーの価格交渉として使われるようになり一躍有名になっています。

で、毎年9月あたりにメモリ価格が下落するのには訳があります。9月がクリスマス商戦のギリギリのラインでして、メーカーはこの時期に最終的に何台製造するか判断をします。予約したのはいいものの結局、多めに発注したことになればスポット市場に流れ込みます。逆にスポットが流れてこない場合、メーカーは強気でみていると判断していいかもしれません。

10年以上前のパソコン販売員の知識ですが多分、そんなに大きく変わっていないでしょう =)。

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ニッタ[5186]は、ゴム製品を製造している企業です。

様々な企業と合弁で事業を立ち上げてるうちの1つにニッタ・ハース社があります。この企業は、シリコンウェハーを磨くための部材を提供しており、非常に利益率が高い事業であります。惜しいかな、この企業は出資比率から持分法会社として処理されており、利益は営業外利益として計上されています。またもう一社、ゲイツ・ユニッタ・アジア社は、自動車ベルトを中心に製造しているのですがこの企業も利益率が高い、のだけれどもこの会社も持分法というね。なので本社より上記の持分法会社2社をあわせた利益のほうが高かったりしたりします。中長期経営計画とか結構強めだったりするのですが、持分法会社を含まない計画らしい。どうなることやら。

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富士紡ホールディングス[3104]は、紡績会社で下着「BVD」で有名な企業です。が、実情は紡績から延長した研磨剤がメインになっています。

IRライブラリーの中期経営計画からも分かる通りかなり強めではあるのですが、株価はほぼ無風で寂しい限りです。もう少しIR活動したらいいんじゃないかなあとは思うのですが如何でしょうか。

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扶桑化学工業[4368]は、リンゴ酸の製造を行っている企業です。世界トップ級。

特にシリコンウェハ研磨剤の原料の利益率が高く、販売先の一つと思われるフジミインコーポレーテッド[5384]との連動性が高く注目しています。CMP事業については、フジミインコの弱さを気にしていたのですが、みんなの運用会議の山本さんの話では、フジミインコの比率は落ちており、その分、世界シェアが高まっているとのこと。


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