2018年10月1日月曜日

6488 ヨシタケ - '18/08の「担当ファンドマネージャーの見方」

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6488 ヨシタケ


ヨシタケは、バルブ(自動調整弁)を製造する企業です。四季報の同業他社に東亜バルブエンジニアリング[6466]岡野バルブ製造[6492]キッツ[6498]。東亜バルブと岡野バルブは原発に依存度が高かっただけに厳しい経営になっているので比較対象としてはどうだろうか。キッツはデカすぎるし。

<タイ子会社の収益環境が改善>

数年前まで、タイ経済は新興国の優等生でした。比較的勤勉な国民性と政治の安定を背景に、リーマン・ショック後もいち早く景気回復に転じました。しかし、2013年以降、政局が混乱し軍が主導権を握るようになると、前政権のバラマキ政策や2011年水害の復興需要の反動による内需不振、止まらない人件費上昇による国際競争力の低下といった要因により、景気は低迷を続けました。日本の製造業はタイを主力拠点とする企業が多く、その影響は日本企業全体の業績にも少なからぬ影響を与えました。

しかし、2017年後半から、同国経済はようやくバランスを取り戻しました。内需・外需とも拡大に転じ、日系子会社の業績も改善に転じています。その中でも、当ファンドが注目している企業がヨシタケ(6488)です。

同社は工場などの熱源となる蒸気配管の圧力調整に用いる自動弁の大手メーカーです。多品種少量生産で流通が複雑かつ施工者の使い慣れが重要な分野のため、国内的にも国際的にも住み分けが進んでおり、かつてはあまり海外展開に積極的ではありませんでした。唯一の海外工場であるタイも、1989年に進出したものの、生産規模は限定的でした。

転機となったのは2011年の水害です。旧工場が完全に冠水したため、同社は新工場への移転を決断しました。新工場には新鋭の機械を積極的に導入し、日本国内向けも含め鋳物製品はほぼ完全に生産を移管しました。その結果、前期におけるタイでの現地販売の比率はまだ連結売上高の8%に過ぎませんが、営業利益での寄与度は40%を超え、有形固定資産簿価に占める比率は(国内は減価償却が進んでいるので)66%に達しています。

同国経済回復の要因は、かつてのような極端に割安な人件費やバラマキ政策に依存できない状況で、各企業が地道な企業努力を続けてきた結果と考えています。同社の積極的な設備投資と生産移管は、その中のほんの小さな一例と言えるでしょう。

バルブ系は大体利益率10%程度はある事業のようです。バルブ自体は様々な用途で使われていますし、他の製造業よりは景況感の影響を受けにくい事業かもしれません。財務も良好な企業が多いですしね。

いつものB/Sの確認。GMOクリック証券の財務分析より。


確かに2012 → 2013年に大きな投資があったように見えます。続いてFCF。


2012年から2014年まで積極的に投資を行ったのが分かります。最近のフリーキャッシュフローは伸びていないのが気になりますが、2017, 2018年の投資先次第かな。

ちょっと確認しましょう。以下は今年の決算短信の投資CFです。


前期は有形固定資産に投資していたようですが、前々期はやはり投資有価証券に投資をしたようです。中身は有報をみないと分かりませんが多分、関連企業への株式投資のような気がします。

まあ、そいう体質の企業なんだとは思います。

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