2018年4月18日水曜日

3447 信和 - '18/03の「担当ファンドマネージャーの見方」


3447 信和


信和は、建設現場で使われる足場の製造・販売を行う企業です。'18/03上場。四季報の同業他社に中央ビルト工業[1971]エスアールジータカミヤ[2445]アルインコ[5933]


<とっても地味なイノベーション>

建設業界は技術革新の速度が緩やかな業界です。設計などの業務に対する情報技術の活用によって飛躍的に生産性が上がるといった論調もありますが、現実にはさまざまな障害があり、情報化だけで効率を大幅に高めることはできません。一方、一見地味な分野でも時として大幅に技術革新が進み、生産性や安全性が高まることもあります。その例として今回は足場業界を取り上げます。

足場は工事完成後に撤去されるため注目されにくい分野ですが、日本における建築コストの高さの一因と言われ、マンション外壁リフォームなどでは費用の約2割を占めています。また、建設業の墜落事故による死亡者数は年間百数十名に及んでおり、安全性の向上が急務となっています。そういった業界で、現在は二つの技術革新が進んでいます。第一は、施工時にまず上段の手すりを組み立ててから足場本体を設置する「手すり先行工法」です。十数年前から国土交通省・厚生労働省の指導下で普及が図られており、認知度・品質の向上が進んだため、近年では国の直轄工事に加え大手ハウスメーカーなどでも業者に採用を義務化する場合が増えています。

もう一つは、接合部にロック機構を付けることで、より軽い打撃で組み立てを可能にする工法です。ロック機構を付けることで堅牢性も増し、高層専用足場より簡素な構造でより高い建物にも対応可能となることも利点です。近年はロック機構の改良で施工性が向上し、組立時間も大幅に短縮されました。

こういった動きを主導している企業が信和(3447)です。同社は中低層向け足場のメーカーとしては40%のシェアを有する企業で、中低層向け製販一貫レンタルのダイサン(4750)とは競合、中低層向けレンタル/高層向けメーカーのアルインコ(5933)とはパートナー、高層向けレンタルのエスアールジータカミヤ(2445)とは潜在的・間接的競合という関係にあります。前期は新国立競技場スタンド向け工事などでロック機構付き足場が本格採用され、増収率が加速しました。鉄鋼価格の上昇により利益は伸び悩んだ模様ですが、今後価格転嫁を進めていく方向です。

'18/03上場。


VCのイグジッド案件。既に殆ど売却した模様。

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アルインコのIRで聞いた話なんだけど、足場は業界標準というのが存在しておらず各社で仕様が異なるんだとか。なので、他社製品の置き換えが難しく参入障壁になるんだとか。足場を製造している企業は数多あるらしいのですが、足場製造会社が倒産してしまうと既に保有している足場の換えがきかなくなってしまうことより、財務良好な企業が好まれるとのこと。アルインコは足場で高いシェアを持っていますし、またより今の環境に適した新型の足場を開発しており目下、事業展開中。

ということで信和も同じく既に高いシェアを持っているのは強みと思われます。足場と言っても様々な種類がある内のひとつ、ということらしいのですが。

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鋼材価格高騰の影響についてはアルインコも同様のようです。レンタルでシェアを拡大する方向は悪くないと思うのですが、利益率を落とすことに繋がるのでやや注意が必要かと思われます。人数も足りないようなのでこれからの事業になりそう。アルインコと手を組んだほうが早いと思うけどなあ。

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後はのれんが半端ない額なのが気がかりですな。IFRSにしたから大丈夫と言われても、事業が悪化したと認識された時点でガンガン減損しなければならないだろうし、上場ゴールが目標であるならもう減損してもVCは文句を言わない状況にある。だってイグジット終わったし。

LBOによるシンジケートローンもどうだろう。景況感が悪くなると結構なリスクだ。



これ、上場したのはいいけどしばらく積極的に設備投資できないパティーンじゃね?レンタル事業、大丈夫かねえ。それとも言ってみただけ?

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