2015年1月27日火曜日

農薬関連銘柄 - '14/12の「担当ファンドマネージャーの見方」

大和住銀日本小型株ファンドの月次。12月は農薬関連銘柄について。

<今年一番注目している業種は?>
電機産業を中心に、日本企業の輸出競争力は大きく低下しました。大幅に円安が進行したにもかかわらず、多くの業種で輸出は伸びていません。そういった状況下で、地味に世界での存在感を高めている業種が農薬業界です。
海外の農薬業界は、巨大企業による再編が進んだ結果、新薬の開発機能を持つ企業は欧州のシンジェンタ・バイエル・BASF、米国のダウ・モンサント・デュポンの6社に絞られました。その他の独立系企業は主として新興国向けに特許切れの製品を販売するジェネリックメーカーがほとんどです。それに対し、日本での業界再編は小幅にとどまっており、小規模ながら独自の製品開発を行う企業がまだ多く存在します。
近年、欧米の巨大企業は総じて遺伝子組み換え作物に傾斜し、既存の作物に関する研究開発を縮小してきた模様です。しかし、世界では遺伝子組み換え作物を受け入れない地域も多く存在すること、遺伝子組み換え作物の普及により想定外の病虫害も現れてきたことから、様々な特性を持つ農薬に対する需要はむしろ高まっています。従って、近年では欧米の巨大企業が日本企業の農薬を導入するケースが増加してきました。例えば、バイエルは日本農薬(4997)から導入した殺虫剤「フェニックス」をブラジルの大豆向けに想定を上回る勢いで拡販しています。イハラケミカル工業(4989)・クミアイ化学工業(4996)の二社が共同開発した除草剤ピロキサスルフォンは、豪州でバイエル、米国でBASFが拡販を進めています。また、遺伝子組み換え作物最大の勝者であるモンサントは、住友化学(4005)との提携関係を強化しました。当ファンドの組入銘柄であるOATアグリオ(4979)も積極的な海外展開を進めており、上場初年度の業績は不慮の規制強化によって下方修正となったものの、引き続き注目できる企業と考えています。
農薬開発は、物質合成・効能評価・安全性評価の三部門がチームワークを取り合って進める事業です。新規物質が当初の想定とはまったく異なる効能で商品化される場合も多く、組織の小回りが有効に機能するケースが多いと言えます。日本の農薬産業は、不確実性の高い研究開発型の事業では必ずしも巨大組織が有利とはいえないことを示しているのかもしれません。

今回は、4997 日本農薬4989 イハラケミカル工業4005 住友化学4979 OATアグリオが取り扱われてます。他に同業他社を上げると4955 アグロ カネショウ4996 クミアイ化学工業9992 理研グリーン4021 日産化学工業4952 エス・ディー・エス バイオテックあたりでしょうか。

農薬関連ですと昔、4952 SDSバイオテックという銘柄を持っていたのでそのあたりの話でもしますか。

元々、SDSバイオテックは、4004 昭和電工の農薬部門がMBOした銘柄です。OATアグリオも大塚化学からのMBOですし、この分野は独立心が強いのでしょうかね =)。上場したのは'08/12だったのですがこの後、アジア方面の業績が伸びず円高もあって結構下方修正してきたんですよ。この時期に正直、持つのが辛くて手放したのですがその後、5019 出光興産からの救済と思われるTOBが入って現在の株主構成となります。この時のTOB価格は960円でした。

SDSバイオは、農薬の原体と言うのを開発・製造しています。原体というのは農薬の大本の原料となるもので、市販されている農薬は原体の調合具合で製品になるんだそうです。なので農薬の中でも原体は利益率が高い反面、開発にコストと時間が掛かります。特許で守られていると言っても需要と供給の関係で、立場的に弱いコメントを出すことがあってナカナカ長期で持つのは難しい銘柄でしたね。

農薬銘柄全般に言える事なのですが、利益と同じ位、研究開発費が掛かります。政府の認証試験も長期に渡る事が多く、試験の段階で上市できなくなることもあります。医薬品銘柄と同じ性質を持っていることを理解した方がいいでしょう。

日本農薬もそうなんですが、いつどんな時期に需要がどのくらい伸びるかってのが分かりにくいんですよ。しかも業界自体はこじんまりとしているので関連銘柄の株価も連動する事が少なく、業績もバラバラと言う事が多いです。アナリストも足りないんだと思います。


難しい業態ではあるものの、特に新興国方面での需要は今後も期待できるとは思います。SDSバイオは水稲を得意としており、顧客がアジア方面に多いあたり、期待できるんじゃないかと思ったんですけどね、、、orz


  • http://www.daiwasbi.co.jp/products/search/fund/pdf/20141230_kogataSB37M.pdf

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