11/2に公開された運用報告書を眺めながらキャッキャウフフするのを目的としています。去年のひふみ投信「第6期 運用報告書」を眺めてみると同様の流れですが、今回は運用報告書を見るにあたってキモとなる点を説明しながら俯瞰していきます。
- ひふみ投信 | 運用報告書・運用レポート(ひふみのあゆみ)
今回、みていく運用報告書は上記のページの下にある「第7期 運用報告書(全体版)」です。誰でも入手できます。
ひふみ投信とひふみプラス
ひふみ投信には、「ひふみプラス」というファンドがあります。どちらも「ひふみ投信マザーファンド」というマザーファンドを組み入れており、どちらも運用実績は同じです。ひふみ投信は、投資信託を直接販売するために開発されたファンドで、その後、他の証券会社でも販売するために新たに「ひふみプラス」が開発されています。
ファンド売買の利便性は「ひふみプラス」の方がいいでしょう。日頃のトレード環境からシームレスに売買できますからね。
ひふみ投信は、直販のメリットを活かしたファンドになっています。月一回行われる報告会であるひふみアカデミーに参加できたり、長期保有者を優遇する資産形成応援団(信託報酬一部還元方式)のサービスを受けることが出来ます。
ひふみ投信を応援したいのならひふみ投信での購入をオススメします。ひふみプラスでは信託報酬を販売会社と山分けになってしまいますが、運用会社と販売会社を兼ねているひふみ投信では丸々、信託報酬が手に入るので運営が楽になります =)。
ひふみ投信と運用実績
年間で+16.5%、TOPIX(配当込)の8.4%と比べて上回っており、素晴らしい運用実績を毎年積み重ねています。
アクティブ型投資信託で有りがちなのですが、一時期だけ運用実績が高いのですがその後、長期で運用していくとベンチマークを下回ります。この場合、購入者側が売買のタイミングを図って資金の操作を行わなければならなくなり、長期保有のメリットが少ないです。
長期保有で資産形成を目指すなら、設定来の運用益ではなく、毎年の運用実績を確認してください。毎年、ベンチマークを上回る実績を残すファンドはごく一部です。
ひふみ投信と分配金
今年も分配金は0円でした。設定されてからずっと0円を続けています。
「株の配当金が入ってるのに何故、分配金が出せないのか」という質問を度々見かけるのですが、配当金と分配金は違うものと考えてください。株で得られた配当金は、日々の基準価額に組み込まれています。
一方、投資信託の分配金は、基準価額の一部を削って現金化する仕組みです。
分配金の是非は、様々です。
分配金を受け取らない運用をする場合、運用実績に拍車が掛かります。この現象のことを複利効果と言い、資産を効率的に運用する手段として好まれています。ただこの複利効果、プラスにもマイナスにも働きます。利益が大きい内に、定期的に現金化したい人もいるでしょう。逆に分配金を受け取る場合、資産が飛躍的に増えることもありませんが、現金化することで、下落時に資産を減らすことも防げます。
一概にどちらが優れているというのは言い難い所なのですが、運用実績が安定して上向いているのであれば、分配金を受け取らないほうが有利です。最悪なのは、分配金を再投資するパターンでして、この場合、分配金から税金を引かれてからの再投資になるので、複利効果が活かせません。
分配金が0円なので、仮に分配金が欲しいのなら手動で少し解約する選択肢もあります。やや面倒ですけど、選択肢があるのはいいことです =)。
ひふみ投信とベンチマーク
ベンチマークは、アクティブ型投資信託で参考としている指数のことです。日本株ならTOPIX、米国株ならS&P、世界株ならMSCI等が設定される場合が多いようです。株以外にも債券にも指数はあります。
ベンチマークを設定している投資信託は、ベンチマークより上回る運用を期待されます。
ベンチマークを設定する場合、ベンチマークをかけ離れた銘柄組み入れは良い投資態度ではありません。例えばTOPIXをベンチマークとするなら、組み入れ銘柄の中には、トヨタ自動車、ソフトバンク、三菱UFJ等の影響度の高い銘柄を組み入れる必要があり、その中の比率の過多でTOPIXを上回る運用を期待されます。
ひふみ投信は、ベンチマークとしてではなく参考指数としてTOPIX(配当込)を選択しています。組み入れ銘柄は自由に選択するがTOPIXには勝つ、という意気込みが見られます。
ひふみ投信と売買高比率
ひふみ投信は、売買回数が極めて多いファンドです。売買回数の過多は売買高比率で確認できます。
売買高比率は1.98でした。この数値は、保有している株を全部売却して、全部買い戻したのと同じ売買になります。売買高比率が少なく、売買コストが少ししか発生しないインデックスファンドの売買高比率はおおよそ0.1~0.2で収まります。
アクティブ型投資信託でも1.98というのは高い方でしょう。
一般的には売買を増やすと売買コストが増えるので、コスト面で不利であるとされていますが、ひふみ投信は、売買タイミングでエッジを得ている証左でしょう。
ひふみ投信と運用コスト
ひふみ投信の信託報酬は1.0584%と定められています。この他に売買委任手数料(売買コスト)が0.304%加わり、合計で1.366%のコストが掛かっています。
TOPIXをライバル視してますので、少なくとも1.366%分のエッジを何処からか得る必要があるでしょう。信託報酬はもとより、売買コストが加わるので結構、厳しい戦いを強いられることになります。
ガンガレ =)。
ひふみ投信と組入比率
ひふみ投信は、組入比率を50%まで下げることができると規約に盛り込まれています。
一般的な投資信託は、組入比率を9割以上に保つ必要があるのですが、この場合、相場が大きく下落していても何らかの銘柄を組み入れる必要が出てくるので運用が難しくなると言われています。ひふみ投信は、フレキシブルに現金化を行えるので急落に耐える運用がしやすいのです。
下落時はキャッシュ・イズ・キングです =)。
今期は9割方組み入れています。ひふみ投信では高い比率になります。
ひふみ投信とシャープ・レシオ
ひふみ投信は、シャープ・レシオを意識した運用を行っています。シャープ・レシオの高さを評価され、R&Iファンド大賞2015の優秀ファンド賞の栄誉を勝ち取っています。
守りながらふやすとは具体的にいうとシャープレシオが高い運用です。シャープレシオとはリターンをリスクで割ったものですが、この数値が高いほど運用能力が高いとされています。よりリターンが高く、リスクが低ければ、この値が高く出てきます。
-- 第7期 運用報告書(全体版)
シャープ・レシオは、如何にリスクを抑えつつ利益を出したかの指標です。
リスクは、資産の変動幅の増減です。大きく下がった時は勿論、大きく騰がってもリスクは高いと見なされます。変動が大きければ大きいほどリスクは高いのです。リスクが高い投資信託の場合、大きく利益を出せたとしても一時的な場合が多いのです。この場合、受益者が適切なタイミングで売買を行う必要があり、極めて難しい操作が必要になります。
長期運用の場合、如何にリスクを減らして利益を得るかが重要なのです。リスクを減らすことで複利効果を得られやすくなります。
ひふみ投信と銘柄選択
ひふみ投信の銘柄選択の基準は以下のとおり。
① 米国景気の回復の恩恵を受ける企業
② 日本の設備投資の回復の恩恵を受ける設備関連企業
③ 景気にかかわらず成長するIT・eコマース企業
④ 人手不足の中で着実に伸びていく人材ビジネス
⑤ オリンピックや震災関連で成長するインフラ関連企業
-- 第7期 運用報告書(全体版)
この選択基準はしばらく続きそうです。
投資においてタイミングも重要ですが、それ以上に経営者の質と株式のバリエーション(企業業績に対する株価の割安度)の見極めも重要です。
(中略)
マクロ経済などの外部環境がどのようになろうとも、優秀な経営者に率いられた勢いのある企業はその影響を最小限に、伸びていきます。そして、成長企業に投資することが、運用資産総額を増やしていく直接的な方法だと考えています。、
-- 第7期 運用報告書(全体版)
軸は相変わらず成長企業ですね。長期的には経営者の質が大きく左右されるでしょう。
特徴的なのは8306 三菱UFJフィナンシャル・グループですね。今期で買い付けた分は全て売り切っています。金融相場に備えた組み入れだったのでしょう。共立メンテナンスはやや利食いが入ってますがまだ残しています。
ひふみ投信の組入銘柄
ざっくり見ていきましょう =)。
今期、新規組入した銘柄にはマークしています。
私のお気に入り銘柄からピックアップすると、6409 キトーは9/30現在ではまだ残っているようですね。4825 ウェザーニューズは売り切ってしまった様子。勿体無いことを。2428ウェルネットと7821前田工繊は今更のような気はするが、特別許す =)。
6155 高松機械工業はバリエーションから選択したのかな。工作機械だけに厳しい気はするが。直近の受注高もビミョーだしねえ。2883 大冷は割と面白そう。様子見だけど。9678 カナモトを割増しているのは流石だ。チャイナショックのタイミングで買い付けたんだろう。9644 タナベ経営、9757 船井総研HDはよくわからないな。見落としでもあるのかな。
6047 Gunosyとか6172 メタップスとかどうなんだこれ。
こんなかんじかな。
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