<食品業界の再編が加速>
日本の食品業界は、ビールなど一部の分野を除き、中小企業が乱立している業界です。需要が安定しているため再編を迫られる機会が少なく、各企業が独立を保ち続けた結果、スケールメリット(規模による優位性)が働かず生産性の低い状態に陥っているケースがしばしば見られます。手間をかけて少量生産を行なっていても製品が高価で売れれば良いのですが、そのような例は、ブランドを確立した一部の業者に限られます。しかし、事業承継が難しくなるにつれて、徐々に再編の動きも出てきています。家族や幹部社員に事業を引き継がせるのが困難な場合には、他社によるM&Aに頼るしかありません。買い手の数は必ずしも多くないため、譲渡価格が高くなることは少なく、投資先の選別や買収後のテコ入れを上手に行える企業にとっては、優良な投資機会と言えます。
こういう状況下で、食品メーカーなら分野にこだわらず投資を行う企業が何社か出てきています。上場企業では、2000年代にM&Aを開始したジャパン・フード&リカー・アライアンス(2538)や最近拡大路線に転じたアスラポート・ダイニング(3069)、当初からM&Aを目的に設立されたヨシムラ・フード・ホールディングス(2884)などです。ただし、これら企業の買収案件に関しては必ずしも成功とは言い難い例が散見され、リスク面も意識する必要があると感じています。むしろ当ファンドで注目しているのは、自身の事業を伸ばしながら同業または隣接分野のM&Aを行なう企業です。具体的には、ピックルスコーポレーション(2925)に対して投資を開始しました。同社は、食べやすいキムチ「ご飯がススム」シリーズを全国ブランドに育てつつ、輸入キムチを有名店のライセンスブランドで販売する企業や青果市場の買収を行なっています。
後継者問題は今後、大きな社会問題になろうかと思ってます。下記のM&Aキャピタルも問題解消のための事業を行っており、業績も悪くない状況のようです。
食品加工業は、全国に中小企業が多く存在しています。
ある程度のキャッシュが安定的に入ってくる傾向の事業が好まれることから、高度成長期にかけて多くの企業が乱立しています。参入障壁は然程高くないことより過当競争になりやすく、価格転嫁もしにくくなり、赤字経営ギリギリで設備投資がままならない状況が続きます。そんなハコを後継者が相続を嫌がるのは仕方のないところじゃないでしょうか。思い入れも違いますしね。
3069 アスラポート・ダイニングは、外食や食品業へのM&Aを積極的に行っている企業です。どちらかというと救済に近い形でしょうか。難点は、アスラポートの実質的な親会社に経営の主導が握られている感があり時折、増資が行われるあたり既存の投資家にとってはあまり喜べない展開が多いところでしょうか。優待で我慢するしか無いですね。
2884 ヨシムラ・フード・ホールディングスは、中小の食品企業を買収し、収益を改善させ後に売却するM&Aビジネスを行っています。上場後も着々と企業を買収しているのですが、今のところ、赤字企業への投資は行っていないようです。M&Aのスピード次第ですが、今後の資金繰りをどう行っていくかが注目でしょうね。
2925 ピックルスコーポレーションは、親会社の東洋漬物から資本が解消されたあたりで、漬物を中心とした商品のポートフォリオが多くなっているように感じています。ポートフォリオを広げるとどうしても競合を意識せざるを得ないですからね。M&Aについては、主力のキムチブランドは自社の工場を広げていくとのこと。同業の設備では、コンビニやスーパーの商品要求に耐えうることが出来ず、新規に設備投資しなければならないのでM&Aにうま味は無いとのこと。自らのポートフォリオを広げるためのM&Aはしていく、と話していました。
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