6284 日精ASB機械
今週ご紹介する「日精エー・エス・ビー機械」は、ペットボトルの成形機で世界トップシェア(出荷台数ベース)を誇るグローバル企業です。ペットボトルの製造工程は、材料となる樹脂を溶融して金型に流し込み、試験管のような形の“プリフォーム”を成形する第1工程、次にこのプリフォームを加熱して風船のように膨らませ、別の金型内でペットボトルの姿に成形する第2工程に分かれています。この2工程を別々の機械で行うツーステップ機は、少品種・大量生産の飲料用ペットボトルなどに向く成形機ですが、付加価値がそれほど高くなく(ボトルの形状が単純)、競合も厳しい市場です。そこで同社は2工程を1台で完結でき、ツーステップ機より高い技術水準が求められるワンステップ機に注力してきました。ワンステップ機はボトルのデザイン・形状が多様な食品・日用品・化粧品など多品種・中少量生産に適しており、その市場は同社と別の国内企業1社による寡占状態となっています。
同社はグローバルに展開している点も特徴で、売上高の約9割は海外市場向けとなっています。同社では、会社設立の2年後にあたる1980年の米国販売会社設置を皮切りに、欧州・アジアに販売会社を相次いで設置したのち、1997年には初の海外生産子会社となるインド法人を設立しました。主力工場となったインド工場は、2013年に第2工場棟を稼働させたばかりですが、将来の拡張を見据えて既存工場の周辺の土地使用権を新たに取得しました。また、国内でも生産能力を高めるために、協力会社と連携して既設の工場を新たな生産スペースとして確保しています。ペットボトルは、新興国における飲料用の需要増加、先進国における食品・日用品・化粧品用などへの多様化が期待されます。成形機に求められるニーズがますます拡大するなか、同社は活躍の場をさらに拡大する計画です。
この銘柄も一時期、主力にしていた時期がありました。懐かしいですね =)。
上記の指摘通り、海外売上が9割を占めるので為替の影響を大きく受けます。あまり為替ヘッジをしていないようなので円高局面では警戒したほうがいいかもしれません。生産拠点をインドに移管したあたりで売上や利益率が改善していきました。増産効果があったのかもしれませんね。
業界シェアはトップクラスですが、割合は10~15%程度。ソコソコ多くの企業が乱立している状況です。
直近3Q決算の受注高は前年比+10%ちょいありましたので、来期の業績見通しもそんなには悪くならないのではないかと思われます。
いつものB/Sの確認。GMOクリック証券の財務分析より。
ここ数年の成長は素晴らしいですね。
製造業ですので、売上が伸びるとその分、組み立てるための部品や材料(棚卸資産)や売上債権、製造するための土地や設備でB/Sが太る傾向にあります。特にASB製造は、棚卸資産に占める割合が大きいのですが、これは受注してから組み立てるまでに要する時間が長くなってしまうからかと思われます。
単価の高い機械ですと仕方のないところかもしれませんが、在庫増はリスクでもあります。特に受注高が減る状況ですと、優れた経営者なら棚卸資産を減らし現金比率を高めます。会計的な問題なのですが、棚卸資産が減ると原価率が高くなります。言い方を変えると粗利が減って、利益が減ります。
長い目で見ると棚卸資産を削る行為は素晴らしい経営なのですが、見栄えのP/Lが悪くなります。左程状況が悪くなくても、一時的に赤字になる場合があり、株価は急落します。受注高を見れば分かることなのにね。
逆に受注状況が芳しくなく、景気も下落傾向にあるにも関わらず在庫調整を遅らせることになると、短期的にはP/Lの見栄えは悪くならずに株価の持ちは悪くないのですが、長期的には粗利を改善させることが困難になり、最悪、在庫の減損処理をする場合も出てくるでしょう。株価的には在庫調整をしない場合のほうが悪くない場合が多いのですが、納得いかんのですよ私は。
ASB機械以外ですと、7717 ブイ・テクノロジー、7760 IMV、7722 国際計測器あたりが上記の傾向が強いです。6920 レーザーテックは、自前で製造しない「持たざる経営」なので、上記の銘柄ほど生産調整で大きく利益を減らすことはないのですが、いかんせんブツの価格が高いのでやっぱり受注高には注意したほうがいいでしょう。
ということで棚卸資産回転率で銘柄を抽出してみると面白いですよ =)。
- http://apl.morningstar.co.jp/webasp/pdf/weekly/2006073104_W_20150918.pdf
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