9384 内外トランスライン
今週ご紹介する「内外トランスライン」は、自らは輸送手段を持たずに“ドア・トゥ・ドア”の国際一貫輸送サービスを提供しています。“輸送のコーディネータ”を標榜する同社は、例えば、顧客企業の国内工場から製品を港まで運送し、コンテナに積み込んで船便で発送、目的地の港に着くと各国の法律に基づいて通関手続きを行った上で、送り先に届けるというサービスを提供しています。船便やコンテナ、トラックといった輸送手段にも種類や機能に応じた価格がついているため、同社はこれらを適正な価格で仕入れて、顧客にとって最適な組み合わせを提案しています。海運会社や陸運会社も同様のサービスを提供していますが、自社の船便やトラック便が優先されるため、必ずしも顧客にとって最適な組み合わせになるとは限りません。したがって、自社で輸送手段を持たないことが同社の強みの一つとなっています。さらに、小口の貨物でも柔軟に対応できるのも同社の強みで、1つのコンテナに複数の貨物を入れて輸送する輸出混載貨物の海上輸送において、同社は国内トップシェアを握っています。
顧客の多様なニーズに応えるため、同社は国内および海外の主要港に拠点を設けていますが、M&Aを活用した拠点拡充にも積極的です。具体的には、2003年には同業者の米国現地法人を買収、2010年には米国ニューヨークの国際海上輸送会社を子会社化、2011年にはインド・ニューデリーの国際物流会社を子会社化、2013年にも同業者から事業を譲り受けています。また、2014年末には韓国釜山港における物流団地の優先交渉権を獲得しており、今後は世界第6位のコンテナ取扱量を誇る釜山港に倉庫を建設し、多様な物流サービスを展開していく方針です。国内外ネットワークのさらなる充実が、同社のさらなる成長の糧となることが見込まれます。
内外トランスラインは、独自にコンテナや船舶を持たずに海上輸送サービスのみを提供します。海上輸送のマネージメントに特化したビジネスで、NVOCC(Non-Vessel Operating Common Carrier、非船舶運航業者)と呼ばれています。一般的に、海上輸送では船舶やコンテナを持って運営することが多く、このようなビジネスは比較的新しい業態です。
海上輸送では、混載輸送(LCL)を得意としており、複数の荷主の荷物を一つのコンテナに纏めて輸送することで輸送コストを削減するサービスを提供しています。コンテナに満載するのではなく、小口に輸送することで保管コストを削減できますし、必要な時期に必要な分だけ輸送することで最適な経営に貢献することができます。
内外トランスラインは、NVOCCの中ではトップです。とはいえ同業他社は多く、トップといっても確か国内7~8%程度のシェアかと思いました。規模が大きければ、その分、混載のマネージメントがしやすくなることはあると思うのですが、参入障壁は低い方かと思われます。
所謂「持たない経営」という奴でして、設備投資が少なくて済む業種です。内外トランスラインも財務はかなり安定している企業と言えます。
最近は、海運・陸運業も同様のサービスを展開していますが、やはり持っている設備が大きく、また人材もサービス業に近い分野なので従来の人材とは毛色が違うようで、ナカナカ上手く適合できていない感じでしょうか。
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いつものB/Sの確認。GMOクリック証券の財務分析より。
まあ現金の塊ですよね =)。株主資本の伸びも立派なものです。
続いてFCF。
ここ数年は、M&Aやら減損やらで目立ってFCFは伸びていませんが、規模拡大の投資ですので問題はないでしょう。B/Sが歪むほどの投資でもないですし。
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纏めると、物流の中でも比較的新しいビジネスモデルとして悪くない印象を持っています。上場会社ですと9381 AITが同様のモデルですが、株価は随分評価されてしまいましたね。
海運ですので清算はドルベースなので為替変動の影響は受けやすいです。まあ不採算までではないにしろ、気分の悪いP/Lになることがままあるので注意が必要かもしれません。不景気で物流全般の動きが鈍化すると売上に影響がありますけど、まあこれは仕方がない。
嫌いじゃないですよ =)
- http://apl.morningstar.co.jp/webasp/pdf/weekly/2006073104_W_20150828.pdf
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