2018年7月23日月曜日

4627 ナトコ、7943 ニチハ - '18/06の「担当ファンドマネージャーの見方」



<地味な事業でも技術は進歩している>

2013年10月作成の当欄<アップルに採用されるということ>で、ナトコ(4627)の自己修復コーティングについて紹介しました。当時、この製品は「iPhone5c」に採用されたと推測される状況で、一層の事業拡大を期待していましたが、残念ながらあまり採用は拡がっていません。スマートフォンの筐体が金属と特殊ガラス中心でプラスチックの採用自体が拡がらなかったことが最大の要因ですが、ノートパソコンなど他製品でも表面の自己修復機能を正面に押し出した製品はなくなりました。優れた技術ではありますが、最終製品の差別化に大きく寄与するものではないということでしょう。結局、同社の爆発的な好業績は2013年10月期の1期間で終わりました。しかし、2016年10月期以降、同社はふたたび着実な成長軌道に復帰しています。

業績改善の原動力は、既存事業の塗料です。同社は特に、自動車用のプラスチック部品に注力してきました。軽量化のため自動車のプラスチック利用箇所は増加傾向にありますが、成型品そのままではどうしても安っぽい印象を与えがちです。同社はそこに、反射防止や防汚性などの付加価値を塗装によって与えることを提案し続けてきました。その結果、国内にとどまらず、海外の自動車メーカーにも採用実績が拡がっています。

また、従来から主要顧客であった外壁材の世界でも、進歩が続いています。同社の主要顧客であるニチハ(7943)は、主力製品の保証期間を15年から30年に延長しました。塗料にシリコン成分を加えて紫外線への抵抗力を高めたもので、おそらくは同社との共同研究により実現したと推測されます。この保証期間延長により、現在46%であるニチハの国内シェアはさらに上昇することが期待されます。また、日本で独自の進化を遂げた外壁材は同じ木造住宅大国の米国でも人気が高まっており、ニチハは米国子会社の大幅増強を決定しました。現在、高級品は日本から輸出していますが、完成後は現地生産に切り替える予定であり、同社の対応が注目されます。

4627 ナトコ


ナトコは、樹脂塗料を製造している企業です。四季報の同業他社に神東塗料[4615]ロックペイント[4621]イサム塗料[4624]

上記の記事ある通り、ファインケミカル事業の伸びが素晴らしいですね。自動車軽量化のニーズが増えてくれば採用されることも多くなるかもしれません。懸念としては原料費の高騰による利益減、新規住宅着工数の減少による売上減でしょうか。

2Q決算発表時に増配を発表しているあたり、直近の業績の進捗は悪くないのかもしれません。


7943 ニチハ


ニチハは、建設部材を製造している企業です。窯業系外壁材で高シェア。四季報の同業他社に5900 ダイケン5943 ノーリツ5237 ノザワ

なんかいつの間にか株価が下落してたんですね。2年前くらいにここに目をつけてまして、米国事業の黒字化が見えていて、戸建住宅の需要も戻り基調だったので酷いことにはならないじゃないかなと。中小型株ファンドも挙って組み入れてましたからね。

上記の記事にある通り、窯業系外壁材は価格は安価であっても製品寿命が短いという欠点があったのですが、新製品開発により寿命を伸ばすことに成功しています。私にはこの利点がよく分からなかったのですが、家を建てた方が言うにはとても悩ましい問題なんだそうで、もっと早くこの製品を知りたかったと言ってました。そいうものなんですかねえ。


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