2018年12月10日月曜日

ひふみ投信「第10期 運用報告書(全体版)」を眺めてみる (銘柄編)

【僕なりのひふみ考】 ひふみ投信まとめページ

18.11.30に公開された運用報告書を眺めながらキャッキャウフフするのを目的にしています。全体編は以下のページを参考にしてください。


銘柄編は、投資信託という側面よりは個別株を嗜む個人投資家向けにコメントを記載しています。解説というよりは私の考え方を含めたものと思っていただければ =)。


今後の株式相場のポイント



相場のポイントは以下の3つ。

  1. 米中貿易摩擦
    大方の見方通り、米中貿易摩擦が解決することはないと考えています。米国は、貿易に留まらず政治問題や歴史問題にも口を挟むようになりましたし、中国の「製造2025」を諦めることはないと思っています。とはいえ米国を蔑ろにして経済成長はあり得ないでしょうから、現状の状態をのらりくらりと継続するか、少しずつ悪化していくのではないかと感じています。
    日本は割と面白い役回りになるとみてますが、外交は米国のいいなりですしどうなることやら。
  2. 日本の景気動向
    半導体装置関連ですとEUVによる微細化の進捗と韓国の設備投資意欲で左右されるとみています。Intelの微細化の進捗次第では、メモリの価格下落が続くかもしれません。国内はインフラの老朽化に対する設備投資が増えていくことが期待できます。地方まで投資が巡るかはビミョーでしょう。列島改造論を唱えるには財政が悪すぎます。
  3. 消費税増税
    これはもう時間がないので決まりでしょう。軽減税率での需要ですとやはり食品、特に内食、中食が有利になります。外食はより厳しくなるでしょう。居酒屋は喫煙問題やおひとりさま志向により変わっていかざるを得ないとみます。インバウンド需要は消費増税とは無縁ですので伸びていくでしょう。キャッシュレス化は、インバウンド対応を含め、競争が激化するかもしれません。


今後の運用方針



競争力のある企業ですが、米国のITグローバル企業が今後も伸びるかどうかについては疑問があります。法人税減税で引き伸ばしていた景気も金融引き締めと共に抑えられていくでしょう。景況感に陰りがみえれば法人税や個人情報保護の問題がピックアップされるようになるでしょうし、そうなると米国には向かい風になります。なので米国より中国や欧州の企業の方が妙味があるとみてます。

米中貿易戦争の漁夫の利ですが、米国、中国共にインフラの課題が大きいとみています。インフラ技術での日本企業の立ち位置はかなり良いと感じています。インフラ投資に資金が回るタイミングで狙える企業は多いはずです。

IoTや自動化ですが、これは日本のFA関連企業でしょう。現状、米中貿易戦争が始まっこともあり設備投資意欲に陰りが見え始めていますが、いずれのタイミングで両政府が方向性を決めてくるはずで、そこから企業を選別しても間に合うかと思われます。取り敢えずTHKはもっと頑張れ。

インバウンド需要ですが、数多の災害で下火になっているもののいずれ復興します。日本各地で急速に対応が進んでます。残念ながら民泊は限定的で、ホテル需要が増していくと思います。民泊となると空き家問題もありますが、これは政府の政策次第でしょう。空き家は放置すると様々な犯罪の温床になりますので、早急な対応が必要です。

地味で地道な企業ですが、何が地味で何が地道かどうかは私には判断できませぬ。ただ、なにか新しいことをせずとも成長するパイが十分市場に残されており、新たな事業を模索する必要のない企業やセクターは結構あるとみています。

数年前なら門前薬局がそれだったんですが、既に全国津々浦々の病院の横に門前薬局が配備された状況でして、市場にパイが残っていない状況になりました。門前薬局自体はかなりしんどい状況でして、消費増税後には更に厳しくなることが予想されています。


組入銘柄数


  • 第10期:226銘柄 (+外国株12銘柄)
  • 第9期:185銘柄 (+外国株2銘柄)
  • 第8期:123銘柄
  • 第7期:112銘柄
  • 第6期:98銘柄
  • 第5期:77銘柄

毎年、組入銘柄数は増加しています。純資産の増加が主な要因でしょう。特に今回は外国株を全体の10%を占めるまでになりました。


業種別比率



運用報告書になかったので月次から持ってきました。

業種は、サービス業、情報・通信業と内需に偏っています。数年分を比較してみたのですがこの比率は大きく変わることはないようです。

TOPIXと比較すると、銀行業や輸送用機器(自動車ですね)の比率が低いことでしょうか。その他金融業がやや大きめなのはリース大手の東京センチュリー[8439]の組入状況の影響でしょうね。


グロース株と成長株、外需と内需



運用報告書になかったのでひふみアカデミー資料から持ってきました。

ひふみ投信が強みとする、内需・グロース株の比率が多くなっています。ただしこの比率は相場に合わせて積極的に切り替えることをよく行います。ひふみアカデミー11月では、グロース株からバリュー株への切り替えの検討の話をしていました。


売買銘柄



1年間の売付と買付の多かった銘柄になります。

ひふみ投信は、大型株相場に合わせるために積極的に大型株を売買することがあります。現在、日本株の売買を主体的に行っているのは外国人投資家でして、彼らは世界株ポートフォリオの一つとして日本株を組み入れています。その関係上、彼らが真っ先に組み入れるのは流動性が大きい大型株となり、この間、小型株は置き去りにされることが多く見られます。このため、このような相場の動きが見られた場合、積極的に大型株を組み入れ、動きが一巡すると一気に売却するという操作を行い、TOPIXに負けない運用を目指している特徴があります。

ひふみ投信は、投資を行うと同時に投機も積極的に行うファンドでもあります。なので常に売買回転率が高めにになる傾向があるのです。

上記の場合、パナソニック[6752]ソニー[6758]三井物産[8031]三菱商事[8058]トヨタ自動車[7203]三菱UFJフィナンシャル・グループ[8306]はそれにあたります。長期保有を目的としていません。


組入銘柄 (国内)




組入銘柄を細かく見ていきましょう。

黄色のマスクは新規組入、橙色のマスクは全売却を示しています。中には日成ビルド工業 → スペースバリューHD、総合メディカル → 総合メディカルHDに社名変更を行った企業も対象になっているので注意してください。

5G関連で組み入れたと思われる銘柄は以下の通り。


協和エクシオ、ミライトと組み入れていて業界最大手のコムシスHDを外すスタイルはよくわからん。M&A的な観点なのかしらね。

インフラ整備関連で組み入れたと思われる銘柄は以下の通り。


理屈がよく分からん組入銘柄は以下の通り。

  • 三井海洋開発[6269]、海洋油田向けのリース大手、日本海洋掘削の倒産もあってセクターとしてはビミョーのような気がするんじゃが、、、
  • プレミアムウォーターホールディングス[2588]、ウォーターサーバー販売、水商売が厳しい中での組入、光通信に追従したんかいな
  • KYB[7242]、自動車部品、耐震偽装で注目集まるも収益性に問題なしと判断したんだろうか、火中の栗過ぎる
  • カイカ[2315]、仮想通貨運用、eワラント買収も先行き不透明、なぜこれを組み入れたいと思ったんかねえ
  • ガンホー・オンライン・エンターテイメント[3765]、パズドラ需要で延命、妖怪ウォッチの位置ゲームに期待したんだとは思うんじゃがソシャゲは公開前で処分するのがシキタリになってるような気がするよ
  • シェアリングテクノロジー[3989]、ネットサービス業、新規上場から間もなく投資会社への流れが始まる
  • アルヒ[7198]、住宅ローン大手、新規上場銘柄、その他金融を握るのは珍しい、買値平均2200円くらいとややビミョー、上場直後に組み入れたわけじゃないんだ
  • メタップス[6172]、仮想通貨関連(でいいんだよね?)、よもや何が主力かさっぱり分からない、なぜ組み入れたんだろ

全体としてはFA関連を多く組み入れた感はあります。今回の相場では業績が良いのに下落したセクターでした。米中貿易摩擦もあって今後も難しい展開になりそうな気はします。12月に入ってからは安定した感じはあるんですけどね。


組入銘柄 (外国株)



せっかくなんで全部みていきますか。


概ね米国の大型株中心に組み入れています。中国株はADRを利用しており、直接中国市場を通しているわけではないようです。売買コストと流動性を考えると悪くない選択肢でしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿