2018年12月5日水曜日

ひふみ投信「第10期 運用報告書(全体版)」を眺めてみる (全体編)

【僕なりのひふみ考】 ひふみ投信まとめページ

18.11.30に公開された運用報告書を眺めながらキャッキャウフフするのを目的にしています。過去の記事は以下の通り。


今回は全体編と銘柄編の二部構成になります。



「ひふみ投信」と「ひふみプラス」

ひふみ投信には、ひふみ投信の他にひふみプラスという姉妹ファンドがあります。どちらも「ひふみ投信マザーファンド」というマザーファンドを組み入れており運用実績は同じです。

売買の利便性は「ひふみプラス」の方がいいでしょう。

ひふみプラスは、証券会社経由から売買注文を出すことができるので便利です。株との損益の合算も同口座内でできるのはありがたいでしょう。有名なネット証券会社ならまず取り扱いがあります。


ひふみ投信の活動を応援するつもりなら「ひふみ投信」をオススメします。

ひふみ投信は直接販売を目的とした投資信託なので、購入するには口座を開設する必要があります。運用会社と販売会社を兼ねているひふみ投信では丸々、信託報酬が手に入るので運営が楽になります。また、月一回行われる報告会であるひふみアカデミーに参加できたり、長期保有者を優遇する資産形成応援団(信託報酬一部還元方式)のサービスを受けることができます。


運用実績



年間で+16.4%、TOPIX(配当込)が+11.0%なのでTOPIXを上回る運用になります。直近5期を比べてもいずれもTOPIXを上回っています。

長期に渡ってTOPIXを上回るというのはナカナカできたものではありません。


ベンチマーク



ひふみ投信はベンチマークは設定していません。参考としてTOPIX(配当込)と比較しています。

ベンチマークは、アクティブ型投資信託が運用比較のため設定するものでしてベンチマークを上回る運用が求められます。ベンチマークを設定している投資信託は運用の良し悪しを判断しやすいのですが、ベンチマークに似たポートフォリオを作らざるを得なくなり運用の自由度が減ります。

ひふみ投信は、TOPIXに勝ち、定期預金に勝ち、ライバルに勝つことを目標としています。TOPIX如きにはがっつり上回る自信の表れでしょう。長期的にTOPIXを下回ることがあればガンガン言及して行きましょう。

受益者の権利ですよ =)。


分配金


今回も分配金はありませんでした。

上記の記載ですと場合によっては分配金が出る可能性がありそうな雰囲気ですが多分、今後もずっと出ません。投資信託の社交辞令みたいなもので気にしなくて大丈夫です。

一般的に長期運用では分配金は出ないほうが有利です。分配金で定期的に運用資金を削るより、分配金を出さずに運用を続けたほうが複利効果を得ることができます。複利効果によりより資産を膨らますのは資産運用の基本と言われています。

ただし、複利効果はプラスにもマイナスにも働くので、資本を定期的に現金化することでマイナスの複利効果を避ける意味合いはあると思います。このあたりは考え方次第ですが、株式投資はプラスサムですので長期的にはプラスに働くことが多いと信じることができるのなら、そのまま運用した方が良い結果が、出るといいですね。

少なくとも私はそう思ってます。

分配金が欲しいのなら定期的に少しずつ解約していく手があります。強制的に現金化するよりは融通が効いていいんじゃないでしょうか。


売買高比率 (売買回転率)



今期の売買高比率は1.23と、ひふみ投信にしてはやや少ない売買に収まったようです。

売買高比率が高ければ高いほど積極的に株式売買を行ったことを示します。株式売買を行うことでより儲かるか、というとそうとも言えず、売買に失敗することもありますし、そもそも売買に伴うコストもプラスされます。

1.23という数値は、平均的なアクティブ型投資信託の売買高比率でしょう。殆ど売買を行わないインデックス型投資信託ですと大体0.1~0.2程度で収まります。

以前の売買高比率3以上とかはアクティブ型投資信託の中でも稀にみる回転率です。

過去の売買高比率は以下の通り。

  • 第10期:1.23
  • 第9期:1.91
  • 第8期:1.94
  • 第7期:1.98
  • 第6期:1.69
  • 第5期:3.32
  • 第4期:1.61~1.18 (ファミリーファンド方式への切り替え時期)
  • 第3期:3.79
  • 第2期:3.06
  • 第1期:3.91

こうしてみると今期はあまり回転していないことが分かります。ポートフォリオを弄らず保有銘柄数を増やす作戦に出たからかと思われます。

運用資産が増えたのが原因でしょうね。

中小型株ですと時価総額が小さい分、少々の売買でも相場に影響を与えやすくなります。影響を最小限に食い止めるには運用資産を分散せざるを得なくなったということでしょう。これが原因でエッジのある運用ができなくなったのではないかと考える人が多くなったように感じています。藤野さんは否定していますけどね。


運用コスト



信託報酬は年1.0584%と決められています。若干、ズレが生じているのは信託報酬を日々1/365として抜いているからです。資本が増えてる場合、希薄化されますが、減ってる場合、取られすぎということもあるでしょうね。

その他、大きいのは「売買委託手数料」でつまり株式売買の手数料です。運用額が大きかったり、そもそも売買が少ないとこのコストは減ります。大手証券会社よりはやや高めといった印象でしょうか。


組入比率



組入比率は98.7%とほぼフルインベストメント状態で、現金は残さずほぼ株式として組み入れています。

ひふみ投信は、運用方針として50%まで現金で運用することが可能です。資産運用では、相場状況が不安定になってきた場合は現金が一番強いと言われています(キャッシュイズキング)。悪い相場状況でも最大限の効果を発揮するためにも現金化は強い武器になります。

98.7%を株で運用しているということは10月末時点では株式相場に自信を持っていたということかもしれません。

--

ということで全体編はこんな感じで如何でっしゃろ。銘柄編はまた後で。

0 件のコメント:

コメントを投稿