爆破したブログの8年前の記事を書き直しました。この「簡易版アクルーアルズ」を8年間使い続けてますが、判断が5秒以内で終わるお手軽財務分析でして、かなり活用できると自負してます。
お試しあれ =)。
アクルーアルズ(会計発生高)って何?
利益の質を見抜くために利用されています。求め方は以下の通り。
会計発生高 = (当期純利益+特別損失-特別利益) - 営業キャッシュフロー
会計発生高は、会計上の利益である会計利益「(当期純利益+特別損失-特別利益)」から実際に確保できた現金である現金利益「営業キャッシュフロー」を引いて求めます。
会計発生高は、会計上の利益が大きく、その割に現金収入が少ないと額が大きくなります。この場合、会計上で利益と表示されている程には現金として受け取れていないことを示しており利益の質が悪いと判断します。利益の質が悪い状態が続いている場合、粉飾を疑ったほうがいいかもしれません。
なぜこのようなことが起こるかと言うと会計が発生主義に基づいているからでして、詳しくは勝間センセの著書である「決算書の暗号を解け! ダメ株を見破る投資のルール」を読んでください。私はこの本で会計発生高を知りました。
簡易アクルーアルズの求め方
上記の式から求めてもいいんだけど、もっと簡単な求め方を披露しちゃうZO!。
これだけ。営業CFのみで簡単な引き算で求まるという単純さがウリ。場中取引でも大丈夫 =)。
例として2018年3月決算のキトー[6409]の簡易アクルーアルズを求めてみる。
簡易アクルーアルズ=税引前純利益-営業CFの小計
これだけ。営業CFのみで簡単な引き算で求まるという単純さがウリ。場中取引でも大丈夫 =)。
例として2018年3月決算のキトー[6409]の簡易アクルーアルズを求めてみる。
上記のキトーの場合、簡易アクルーアルズが大幅なマイナスなので気にする必要はないと判断します。
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簡易アクルーアルズの理屈は以下の通り。
- 特損・特益は発生していないことを前提とします
つまりゼロ。そもそも特損・特益が大きい銘柄なんてどうかしてるし、多少の額なら無視して問題なし。 - 純利益を「純利益=税引前当期純利益 - 税金」と分解します
- 営業CFを「営業CF=営業CFの小計 - 税金」と分解します
- 「会計発生高=(税引前当期純利益 - 税金+0-0)-(営業CFの小計 - 税金)」となりまとめると「会計発生高=税引前当期純利益 - 営業CFの小計」となる
初動はざっくりとでいいんよ、ざっくりとで =)。
RIZAPグループ[2928]の例
2018年3月期の簡易アクルーアルズを確認してみましょう。
気になった点は以下の通り。
- 簡易アクルーアルズは大幅なプラス
税引前純利益が120億円に対し、営業CFの小計は15億円程度。100億円以上の会計発生高が発生しています。ちなみに前期の決算でも会計発生高が発生しています。
原因を探る必要があるでしょう。要確認のレベル。 - 「その他」のマイナスが大きい
76億円もの営業CFのマイナスが「その他」て。どうやって分析しろと。
「その他」の計上が大きい銘柄は、大型株でままあるのですが小型でここまで大きいと流石に疑います。私ならこの時点で調査から外します。 - 売掛金のマイナスが大きい
「営業債権及びその他の債権の増減」とありますが売掛金のことでしょうね。売掛金がマイナスということは、売上として計上したものの現金の回収はまだ行われてはいない状況です。急激な売上が発生している時によくあるのですが、RIZAPの事業の多くはBtoCで現金払いが多いはずなので売掛金が多く発生するというのは腑に落ちません。月賦払いを考慮しても大きいように感じます。BtoCなので売掛金での粉飾の可能性は低いとは思うのですが、納得は行かないかなあ。
深掘りするのなら売掛債権回転率を通年で比較してください。 - 棚卸資産のマイナスが大きい
営業CFでは、棚卸資産が増加すると現金が減る行為としてマイナスになります。もっと言えば、棚卸資産が増えると売上原価が減り、結果として利益が増えます。これはよくある会計マジックであり粉飾の定番です。とはいえ売上が増えるにつれ在庫も増えるので一概に粉飾を疑うのは早計ですけどね。
深掘りするなら棚卸資産回転率を通年で比較してください。
簡易アクルーアルズを見る限り、営業活動以外で現金を獲得している企業のように感じました。総じて小売業・サービス業にしては現金の流れが悪いです。
「簡易アクルーアルズ」まとめ
簡易アクルーアルズで注目するべきは「売上債権」「棚卸資産」「仕入債務」「減価償却費」です。これ以外だと会計的な理由である場合が多いです。
- 売上債権の増加は「売上の加工」を疑え!
- 棚卸資産の増加は「利益の加工」を疑え!
- 仕入債務の減少は「支払条件の悪化」を疑え!
貰う現金は早ければ早いほどイイですし、支払う現金は後であれば後である程イイのです。手元に現金がある期間がそれだけ長くなります。支払条件が悪化しているということは、例えば倒産の危険性や反社会的な何かの発生や信用を毀損する何かが発生していると考えるべきでしょう。 - 減価償却費の減少は「会計の変更」を疑え!
ありがちなのは「定率法」→「定額法」に切り替える方法です。定額法にすることによって減価償却費を抑えることが出来ます。が、税金面からすると利益を無理に出す必要性は無いのですから本来は「定率法」を採用し、未来の投資に備えるのがイケイケ経営でしょう。それが出来なくなったと言うことは、投資家よりも銀行の方が気になりだしたのではないか、と。
(追記)
とはいえ最近採用されることが多くなったIFRSでは定額法を推しているようで、世界的には定額法の方が主流になっているように感じています。
色々記載しましたが簡易アクルーアルズは、財務分析の取っ掛かりとして利用することをオススメします。
売上が3~4割増している企業や、金融業が絡む企業だと往々にして簡易アクルーアルズが大幅なプラスになることはよくあることです。プラスだからといって落ち込まないで自分なりに調査して納得する解を探してみましょう。
勝間和代
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