2013年8月10日土曜日

【投資アイディア】 株券の価値ってなぁに? 2013年版

10.01.24のブログ記事「株券の価値とは」を再編集しています。残念ながら元ネタである野村證券の証券用語解説から削除されてしまったようです。無理やり発掘してきました =)

株式の機能|証券用語解説集|野村證券 (Internet Archive)

要はですね。

株券にはいったいどういう価値があって日々取引されているんだろうってことを意識することで何らかの優位性を見出すことが出来るんじゃないかな、と。

株券には「利潤証券」「支配証券」「物的証券」という機能があります。これらの機能は全て法律で保障されている権利です。

一つ一つ見ていきましょう。


利潤証券


(1)利潤証券
企業の所有権者は、出資者である株主である。企業の利潤は、株主に帰属する。(=利益配当請求権)これが「利潤証券」としての株式の側面である。
「株価」は基本的に、株式の有する3つの側面に基づいて形成されるといえるが、企業が永続して生産活動を行うことを前提とし、かつ、その企業を経営することが利潤面以外で利益(満足感)を生むことのない企業の株価形成においては、とりわけこの利潤面が重要な役割を果たすことになる。

株券には利益から配当を求める権利がある、って話ですね。

利益(純利益)は、売上から商品のコストやら材料やら人件費やら借金の利息やら諸々の費用を全て引いてもまだ残るおカネの事を指します。株券は会社が得た利益を配分するよう請求する権利を持っています (利益配当請求権 - Wikipedia)。

多くの企業はこの利益を全て配当しようとはしません。利益は、配当の他に来期以降の開発費や設備投資等の余裕資金として蓄えます。本来ならこの余裕資金の事を内部留保と称するべきなのですが、内部留保という言葉を使いたいだけの人達が色々ヘンテコ解釈していてアレです。

日本の場合、利益から大体2~3割程度を配当に回すのが一般的のようです。

この割合の事を配当性向と言います。配当性向が低くてもその資金で素晴らしい利益が出るのであれば配当しない事を望みます。銀行から利子つきで借金するよりずっと使いやすい資金ですし。逆に成長性が期待できず、おカネだけを産み出す現金製造機(キャッシュ・カウ)の場合、配当性向を高く維持するよう望みます。

配当は株券の王道ですね =)


支配証券


(2)支配証券
株主総会が企業の最高意志決定機関であり、経営決定権限は保有株式数に依存する。(=経営参加権)これが「支配証券」としての側面である。
支配証券の側面は、ある企業の経営権に特別の利益を見出す主体が、利潤等により算出される水準よりも高い価格で株式を取得する場合に、価格形成に直接的な役割を有することになる。企業買収やTOBが行われる場合には、株価にプレミアムが付与されることなどは、この例である。 

株券を多く持っている人が経営を支配する権利を持っているって話ですかね。

如何にも資本主義っぽいですね =)。

株券の保有比率によって得られる権利が段違いです。保有比率が20%を超えると持分法が適用されますし、1/3を超えると議決に対して拒否する権利を持ちます。


権利として興味深いのがあって「総株主の議決権1%以上もしくは300個以上の議決権」の場合です。1%となると億単位の資金が必要になる場合が多いのですが、300個(300単元)となると数千万、状況によっては数百万円で株主総会で話し合われる議題を提出する権利を持つことになります。

毎年、東京電力に原子力発電に関する議題が提出されるのは上記の権利によります。野村HDに対しての議題も話題に挙がりました。


この権利の重要なのは、節目節目で大きな権利を有することです。この権利を持ちたいがために株券を高値で買い取ってくれる投資家がいます。条件は様々なのですが意識すると力関係がうっすらと見えてきてこのゲームで少しだけ優位に立てる、かもしれません =)

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例えば、ですねえ。

直近だと8711 FXプライムとその大株主である9449 GMOインターネットの関係とか興味深いかな。

両社ともFXという金融商品を扱っているのですが、FXプライム側の経営が傾いたあたりでGMOから資本提携を受けて子会社化しています。経営としては両社とも大きな違いは無く、今期はシステムの共用で経費削減を試みています。そうなると、ぶっちゃけ子会社化する必要性が無いんですね。経営者同士が折り合えば、吸収合併は近いのではないかと踏んでます。

仮に吸収するとなると、一般的にプレミアムを付けた株価で買収することになるでしょう。まあ皮算用ですし、プレミアムを付けずに株券を回収することをありえない話ではないのでどの程度有利かはビミョーな所ではありますが。


物的証券


(3)物的証券
企業が解散をした場合には、株主は株式数に応じて、解散処理後残存する企業の純資産を獲得することができる。(=残余財産分配請求権)これが「物的証券」としての側面である。

仮に会社を清算することになった場合、従業員の給与、手形の支払、借金の返済、税金の支払い等、全ての支払いを済ませてそれでも残った部分は全て株主のモノですよって話。

一般的には、運転資金がある内は頑張ってしまう場合が殆どで、それすらムリゲーになったあたりで清算、というか倒産やら破産手続きをすることになります。上記のコストを全て払う事すら無理な状態では株券はただのゴミですね =)。

例えば、ですねえ。

この株券の権利を図る指標にPBRというのがあります。

貸借対照表(バランスシート、BS)の右下にある純資産が株主の持分です。その持分を発行している株券の枚数で割ると「1株当たりの純資産」が計算できます。「株価」から「1株当たりの純資産」を割ったのがPBRになります。

以下の例だと「1株当たりの純資産」は20万円で「株価」は10万円。10÷20=0.5倍という計算になります。



理論上、10万円の株券の会社を清算したら20万円の価値が返ってきて10万円丸儲けじゃね?っていう話。

PBR1倍割れ(1倍以下)というのは「おまいら、経営なんかするよりか清算した方がよっぽどマジじゃねwww」って評価されている状態でして、かなりの低評価です。そうなってしまう理由も多々あるのですが、話が長くなるのでいずれ。

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この考え方で注意が必要なのは、上記の例でいうと本当に500万円の価値があるのかって所が問題になります。手形や借金の300万円分は間違いないのですが、全体で500万円の価値が無いと株主のモノがガッツリ減ります。

つまり賃借対照表の左側の価値が重要なのです。

左側は、現金、回収予定の資金(売掛金)、仕込み中の材料(仕掛品)、土地・建物、未公開株(その他資産)が計上されています。この中で100%信用できるのは現金だけです。現金は預金通帳にある数字をそのまま記載したものですからね。

例えば仕掛品はどうでしょう。例えば販売用のマンションとか本当に記載している価値があるかは疑わしいです。売れ残ればディスカウントせざるを得ないですし、経営者によっては見栄えを良くするために高く計上しているかもしれません。

未公開株に至っては、購入時の価格が計上されている場合が殆どなので今、その価値があるかどうかさっぱりです。逆に言うと投資先の企業がIPOするとなると莫大な利益を生んだり生まなかったりします。博打要素満載です。この部分は精査すると実に美味しいのですが、これも話が長くなるのでいずれ。



ということで、ですね。

自分が何の権利に対して投資したのか意識することで少しだけ優位に立てるかも知れないという話でした。「いやおれっち、テクニカル派なんで全然必要ねえっす」と言われると「そうですよねー」としか答えようがないのが投資の幅広さだとは思うんですけどね、ええ。

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