2013年10月13日日曜日

【会社四季報】 会社四季報で確認する在庫回転率

本来なら「決算短信から求める在庫回転率」にするべきだったんでしょうが、このシリーズ、とても不人気。今まで作ってきた中ではダントツですorz。財務諸表を眺める流れは重要だと思うんだが、即物的なモノが望まれているんだろうか。

残念だが仕方がないね。

ennのニコニコ放送局で在庫回転率について誰か聞いていたようなのでボキュがフォローしてみる。10.08.22に公開した「在庫回転率から悟るアレな銘柄たち」(爆破済み)の簡易版。




何を確認するの?


在庫回転率は、優れた経営手法、長期で持続性のあるビジネスを行っているかの確認に向いています。

売上が増えればその分、余剰在庫を持つ必要があります。余剰在庫の比率が高くなると直近の利益率は上がるのですが、在庫を多く持つリスクが増すことになります。概ね在庫は、置くだけで劣化するものと考えるべきでしょう。売上が伸びる過程で余剰在庫を如何に減らせるかが、経営手法の良し悪しに繋がります。

投資家として在庫回転率を確認するべき項目は以下の通り。

  • 経年での変化
    売上規模が大きくなるにつれ、在庫回転率は改善していくのが望ましいです。例えば出店を増やした場合、出店分の在庫を持つ必要は無く、概ね近場の店舗と在庫を共有してなるべく在庫を持たない工夫をします。前年より回転率が悪くなっている場合、経営状況に変化が無かったか確認する必要があるでしょう。
  • 同業他社との比較
    同じビジネスをしているのであれば在庫は持たない方が優れています。在庫を持たなければその分、資金繰りが良くなりますし、新たな出店もしやすいでしょう。例えばファミレスでは、工場から既に加工済みの食材がパックになって配送される仕組みがありますが、これも在庫を工場で一括管理するという工夫でしょう。



スクリーニング条件の検討


スクリーニング条件は以下のようにしました。

([連・棚卸資産(-1)]/([連・売上原価(-1)]/12)*100

月間の在庫回転率を計算しています。売上原価ではなく売上で計算する所もあるようですが、意味合いからしてみて売上原価の方がよりよいと思います。期首と期末を2で割る所もあるのですが、投資的には直近の在庫の方が面白い重要なので上記を採用しています =)。

上記のスクリーニングでは対象が連結決算銘柄のみになることに注意してください。ダウンロード項目に棚卸資産があればそうしたんですが、残念ながらありませんでしたので今回は連結だけに絞りました。単体決算のみの銘柄を抽出する方法もあるのですが、それは後日、気が向いたら。

スクリーニングする前の予備確認としていつものシェアーズ50銘柄で回転率を見てみましょう。シェアーズ50銘柄の登録については【会社四季報】 会社四季報でつくるマイポートフォリオを参照しておくんなまし。

在庫回転率、売上原価、棚卸資産の順で並んでいます。キャプチャ、ヘマりました><

在庫回転率上位5銘柄
上位はサービス業が多いようです。売上に必要なのは人手で、売っているものはサービスなので在庫らしい在庫が必要ないんですね。

棚卸代行サービスの4659 エイジスでサービスそのものには棚卸資産は必要ないんですね =)。ここの月次はヲチ対象でして、やはり小売業が活気付くとここのサービスも使われるようです。人手不足という長期テーマに対して再度花開く可能性があるんじゃないかなあ、と睨んでいるんですが今の所、米券優待銘柄ですね =)。この企業も語りたいことが多いのですが、いずれまた。

在庫回転率下位5銘柄

下位は製造業ですね。比較的、利益率の高い製造業でこの傾向にあるようです。

5727 東邦チタニウムは、チタン生成メーカーです。原料のチタンは中国から輸入します。原料のチタンの価格が大きく変化するので注意が必要です。単に一定量を在庫しているだけなのに原料価格が倍になったりすると、棚卸資産が倍化します。棚卸資産が倍化すると利益率が凄い勢いであがるのですが、それは会計上の理由なのでガッカリ度が高いのです。チタン生成では電力が必要なのですが電気代は上昇する傾向にあるので、色々厳しい銘柄になってしまいました。

7716 ナカニシは医療機器メーカーです。在庫が多いのは機器を製造するためのモーターやらドリルなどの在庫を多く持っておく必要があるからです。これらが一つでも欠けたら製品として出荷できません。特殊なモーターなので製造するのに月日が掛かりますので、どうしても在庫が多くなります。その分、価格転嫁できる強いビジネスを持っている特徴があります。アベノミクス相場初動でPER9倍とか、今の株価では想像できませんな。いや美味しかったですよ =)


何が適正在庫なのかは同業他社で比較する必要があります。


レッツ スクリーニング!


こんな感じでどうよ。

在庫回転率のスクリーニング




前期~3期前の在庫回転率を表示、売上だけでソート。売上高の規模は、在庫回転率に影響するからね。

まずは小売業。

グループリストは会社四季報に用意されているのを使います(グループ選択で『既存のグループ』→『業種(中分類)』→『小売業』を選択)。

小売業 売上高上位20銘柄

3382 セブン&アイHDは流石ですね。規模からすると一部証券化している可能性も否定できませんが、まあ大丈夫でしょう(何が。

百貨店系は随分コントロールが上手く行っている様子。経営環境はアレですが経営自体は上手く操作されているのですかね。悪くない。

家電量販店の回転率の悪化が気になりますね。ここ数年の売上減に在庫が付いてっていないのでしょうか。3048 ビックカメラ7513 コジマ買収の際に在庫の特損を出したりしていて、傍から見るとちょっとズルい気はしました =)。いずれにしろこの回転率は通常のモノとは異なりそうなので、売上が伸びたのが確認できたタイミングで特損を出す、予感がします。

ランクにはないのですが、紳士服、ABCマートの回転率の高さも気になります。在庫としては腐るものではないですし、アパレルと比べれば流行り廃りが無いのも特徴なのかもしれません。

2769 ヴィレッジヴァンガードとかいつも高い在庫率だったのですが最近になって特損だしましたね。流石に価値は残っていなかったのでしょう。


次、不動産業(『既存のグループ』→『業種別主要企業』→『不動産6社』)。


全体的に在庫回転率は高いです。仕込む期間が長い(建設期間が長い)のが影響しているかと思われます。東急不動産はなんで低いんでしょうかね。気になります。

小売りと異なり、単価が高い(2000千万円位?)商売ですし、ある程度の仕込みをしておかないと、売りたい時に手元に在庫が無いというパターンを避けるためにも在庫を持たざるを得ない状況にあります。


次、工作機械(『既存のグループ』→『業種別主要企業』→『工作機械5社』)


、、、あれ?

工作機械は3年前は7.1程度で、オチ担当だったんですが随分改善されてますね。

工作機械は、単価が数億円単位のモノですので日々売れるものではないですし、特注部品を多用しますので在庫を多く持つ必要があります。

この手の製造業は、受注生産かどうかを確認する必要があります。工作機械の場合、単価が単価ですし概ね受注生産かと思われます。見込生産の場合、在庫切れの機会損失を防ぐためにも多めに在庫を増やす傾向にあります。計画通り売れれば問題ないのですが、突如、人類のアクシデントにより売り上げがめっきり落ちるという事態が発生すると 、とんでもない赤字になります。受注生産の場合、期ズレは起こるにしろ、即死する程の衝撃は、、、たまにあります。


ということで色々確認してみてくださいな。

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